JBC迷走…亀田興毅氏イベント皇治×ヒロキングを臨時理事会で条件付き容認…非ボクシング禁じる解釈基準発表も今回は適用せず
JBC(日本ボクシングコミッション)は5日、オンラインで臨時理事会を開き、亀田興毅氏がプロモートする「3150FIGHT」(8月14日)でJBC管轄外の「ABEMAスペシャルマッチ」としてボクサーライセンスを持つヒロキング(本名・福重浩輝、29、KWORLD3)が元K-1戦士でRIZINで活躍中の人気キックボクサー皇治(33)と対戦するエキシビションマッチについての協議を行い、非ボクシングイベントを禁じるJBCルールに2つの「解釈基準」を追加することを決定した。ただ亀田側との事前の協議ですでに事実上の許可を与えた今回の興行には適応されず、処罰の対象とする強制ではなく、あくまでも自主的な“お願いベース”で対戦相手の変更とJBC管轄外イベントとしての明確な差別化をはかることを“依頼”することになった。いわば“条件付き”容認。自らが定めたルールを正しく運用できていないJBCの”迷走”が今回の混乱を招く結果となった。
JBCの臨時理事会で決議
JBCの臨時理事会は、7月26日に行われた実行委員会で、日本プロボクシング協会側から、JBC管轄外とはいえ、JBCルールに抵触するヒロキング対皇治のエキシビションマッチの開催が記者発表されたことに対しての事情説明を求める声と、異議申し立てがあったため、最終的な対応を決定するために開かれた。 JBC側は、今回のイベントの問題点を整理した上で、非ボクシングへの参加を禁じる2つのJBCルールにより厳格な解釈基準を2つ付け加えた。 JBCルールの第9条(ライセンスの意義)「JBCのライセンスを所持していない者は、JBCの管轄のもとでおこなわれるプロボクシングの試合(公式試合場におけるスパーリングおよび慈善試合を含む)に関与すること、および試合の興行に関する契約の当事者となることができない」にプラスして、JBC管轄の試合と同一日時の同一会場で格闘技イベントが行われる場合の条件を明確に示した。 (1) 一般人にJBC管轄の試合及び当該格闘技イベントを 1 つの興行の一部と誤認されるおそれがないこと。 (2) それぞれ別のチケットを発行し、当該格闘技イベントのチケットにJBC管轄の試合に関する表示を記載しないこと。 (3) JBC管轄の試合と当該格闘技のイベントを連続して行わないこと。 またJBCルールの第12条(他のスポーツライセンスとの兼用禁止)「すべてのライセンス所持者は、JBCによる特別の許可がない限り、他のプロスポーツまたは他の格闘技関連団体に関与もしくは従事する こと(非公式試合への出場を含む)はできない」、第24条(公式試合および海外試合への出場)「ボクサーが公式試合に出場する場合は、事前にJBCの許可を得ることを必要とし、いかなるボクサーもJBCによる許可のない試合(公式試合場におけるスパーリングを含む)に出場してはならない」にも解釈基準が追加された。非常にわかりにくい文書ではあったが「JBCライセンス所持者が、他団体に所属しているとJBCが判断した者との間の格闘技イベントに参加する場合、そのイベントの主催者が他プロもしくは他の格闘技団体かどうかにかかわらず出場はできない」と非ボクシングに関しての解釈基準が明文化された。 ただ、これらの解釈基準は今回の亀田興行には適用されないことが、理事会の中で明かされ、協会側の理事は猛反発したが、JBCには、そうせざるを得ない事情があった。 亀田氏が筆者の取材に「昔の亀田家だったら、えいやあ!でやるけど(笑)。今は優等生でいきますとJBCにも宣言した。ルールはきっちりと守ってやります」と断言した通りに、事前にJBC側に興行の詳細を伝え協議を行ってきた。 亀田側は、3日に公式サイトに「『ABEMAスペシャルマッチ』の実施について」との文書を掲載し、「本企画に関しては、本年6月から7月にかけて、計3回にわたり、JBCの担当者との面談のほか電話やメールでもやりとりを重ね、本件番組企画にJBCライセンスを受けたボクサーであるヒロキング選手が出場する可能性があることも伝え、今回の開催に関しての念書と実施要項をJBCに提出した上で、JBC管轄外のイベントとして本件番組企画を実施することについて許可を得て発表させていただきました」(原文ママ)と説明していた。 この文中の担当者というのが、JBCの理事でもある成富毅事務局長で、事実上のイベント承認を行っていたのである。