亀田和毅が元WBC地域王者を4回KOで破った裏に横綱照ノ富士との”友情物語”…「井上尚弥との試合が見たい。全力応援します」
プロボクシングの元2階級制覇王者、亀田和毅(31、TRYBOX平成西山)が30日、神戸市立中央体育館で行われたフェザー級10回戦でロンドン五輪代表で、元WBCラテンアメリカスーパーバンタム級王者のウィリアム・エンカーナシオン(34、ドミニカ共和国)と対戦し、4回2分35秒KO勝ち、ジム移籍初勝利を飾った。和毅は左ジャブでコントロール。3回に2度ダウンを奪い、4回に左のボディショットで仕留めた。試合後、リング上でWBA世界スーパーバンタム級スーパー、IBF世界同級王者、ムロジョン・アフマダリエフ(27、ウズベキスタン)への挑戦とバンタム級のWBAスーパー、IBF、WBCの3団体統一王者の井上尚弥(29、大橋)がスーパーバンタム級へ上げてきた際の日本人対決を両睨みで実現したい意向を宣言した。
スピードと左で支配してフィニッシュは左ボディショット
何もさせなかった。 「焦るな!」 3ラウンド。4月からコンビを組む世界挑戦経験もあるセコンドの武本在樹トレーナーから声が飛ぶ。その直後だった。 KOチャンスの匂いを嗅いだ亀田和毅は本能でブレーキを外す。左のレバーを抉るようなボディアッパー。遠くドミニカ共和国から飛んできたオリンピアンで地域タイトルホルダーでもあったエンカーナシオンは耐えきれずヒザをキャンバスに着いた。 「一番手応えがあったパンチ。終わったと思った」 それでもエンカーナシオンは立ち上がってきた。 猛烈なラッシュを仕掛けた。ロープにつめ、4つのコンビネーションブローから、左のショートパンチを顔面に浴びせ、2度目のダウンを奪ったが、したたかなベテランは、またファイティングポーズをとった。 和毅が「キャリアがあり変に上手かった」と振り返るクリンチで腕をからめられ、このラウンドは逃げ切られた。 第4ラウンド。亀田は仕留めにいった。右フックから左ボディアッパーの対角線のコンビネーションブローを何発も浴びせ、ガードを左右に広げておいて左ボディの角度を変えて正面からミゾオチを狙う。 「最後は真ん中。ちょっと角度を変えました」 こういう高等テクニックが元2階級制覇王者にはある。 3度目のダウン。ニュートラルコーナーに帰った和毅は、両手を交差するジェスチャーで、もう終わりだと示した。ドミニカ人はクビを振って苦悶の表情。レフェリーはテンカウントを数えた。 「久しぶりの日本。去年は無観客だったんで、お客さんおる中での試合は違うと感じた、そこで結果を出せて次につながった」。 和毅は安堵の表情を浮かべた。 「和毅のボディは強烈だった」 試合後、勝者の控室を訪ねたエンカーナシオンは完敗を認めた。