JBC迷走…亀田興毅氏イベント皇治×ヒロキングを臨時理事会で条件付き容認…非ボクシング禁じる解釈基準発表も今回は適用せず
ただ3年前にJBCと共に「非ボクシングイベントへの関与・協力」を禁じる共同声明を出し、ボクシングの伝統や公益性、選手の安全安心を守ろうという姿勢を打ち出した協会側としては、単なるJBCの失態であり、納得のいく結論ではない。この日の理事会でも、これらのJBCの提案に対して猛反対したが、全員の意見の一致をみるまで議論、協議を重ねるのではなく、強行採決が行われ4対3でこれらの決議が通ってしまった。 JBCのライセンス保持者が、たとえスパーリングであっても、ライセンスを持たない現役の他格闘技団体の選手とリングで拳を交えるのは明確なJBCルール違反である。だが、亀田側は何も無理やり強行しようとしたわけではなく、手順を踏み筋を通していた。JBCとの協議の最初にJBCの指導があれば、それに従い対戦相手も変更していただろう。3度の協議を重ねる中で許可を得て大々的に記者会見を行った後に“待った”をかけられてもいい迷惑だ。 また今回のJBCが管轄する興行内では、柔道の五輪金メダリストで現在は総合格闘家として活躍中の石井慧(35)がクロアチアでプロボクシングライセンスを取得し、クロアチア国籍のサトシ・イシイとして、スパイダー根本ジムの高山秀峰(30)とボクシングの公式試合として対戦することも発表されている。だが、この試合も他格闘技を引退していない選手のボクシング参加の“抜け道”を封じるためにも、石井は在留資格を得て、クロアチアのパスポートで入国することが条件となるが、JBCは、これらの厳格なチェックを行う用意も亀田サイドへの事前の条件提示も行っていない。 “法の番人”であるJBCの迷走が、今回のドタバタ劇のすべての“元凶”。倍額ファイトマネーで大きな経費を使い、今回の興行を盛り上げようとしている亀田サイドからJBCの対応の曖昧さで経済的なダメージを受けたとして、また民事訴訟でも起こされればJBCに勝ち目はないだろう。一度破綻して再出発したはずのJBCのガバナンスをもう一度見直す必要が出てきた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)