珍しくない小惑星の地球への衝突 46億年の歴史でみると……
というのも、地軸の傾きが気候を決めているためです。地球の地軸の傾きは23.4度です。この傾きは地球史を通じて大きく変わっていません。この傾きのおかげで適度な気候が保たれています。しかし、衝突の角度が異なれば、地軸が横倒しに近い状態になることもあります。そうなると、例えば北極、南極では半年間ずっと強い日が照り猛暑となり、残りの半年間はずっと日が当たらず酷寒という極端な気候になることもありえるのです。
地球に水があるのは小惑星がたくさん衝突したおかげ
小惑星がもたらしてくれた恵みは他にもあります。水です。いうまでもなく、これがなければ地球に現在のような生命は誕生しなかったでしょう。地球ができてから数億年の間、微惑星の残りものである小惑星がたくさん地球に降り注ぐ時代が続いていました。地球の水の起源はまだ決着のついていない問題ですが、一つの説として、地球に飛んでくる小惑星の中の氷が、地球にたくさんの水をもたらしたと考えられています。水や生命のあふれる魅惑の惑星になれたのは、小惑星衝突があったからと言っても過言ではありません。 ですが、これらは地球に生命が登場する前の話です。小惑星の衝突は、当時も今も地球表層の環境をがらりと変えてしまう可能性があります。つまり現在の地球環境や人間社会にとっては脅威であることも事実です。
人類史上で稀な大規模災害、チェリャビンスク爆発
つい数年前に起きた2013年2月15日のロシアのチェリャビンスクの小惑星衝突は、世界を震撼させました。幸い死者はいなかったものの、空中爆発の衝撃波で割れたガラスの破片などにより、1500人ほどの住人が負傷しました。人に被害が及んだ、天体による最も大きな災害でした。このときの小惑星は直径17mほどと推測されています。小惑星としては小型ですが、これほどの大きな被害がでてしまいます。当時、その小惑星が落ちてくることを直前まで予想できなかったと言われており、天体衝突の予測の難しさがうかがえます。 近年の観測技術の進歩によって、小さな小惑星がたくさん見つかり、地球に衝突する可能性のあるものが1800個もあることは、冒頭でも紹介しました。小惑星が地球に衝突したら、その大きさによって、地球上でさまざまな変化が起こります。小惑星衝突の危機を免れるために、人類がすべきことは何でしょうか? 次回は現在専門家の間で行われている取り組みを中心に紹介します。 ※後編は7月7日に公開予定です。