米大統領、一部製品で対中関税率を2倍から4倍へ-労働者保護掲げ
(ブルームバーグ): バイデン米大統領は今週、同国労働者の保護を掲げるホワイトハウスのイベントで、中国製品の一部に対する関税率を2倍もしくは3倍、4倍に引き上げる方針を発表する予定だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
バイデン政権は約2年間にわたる関税見直しを経て、主要セクターで関税率を引き上げるか追加する。中国製電気自動車(EV)の関税率は合計で27.5%から102.5%に引き上げられると、関係者が発表を前に匿名で話した。このほか、的を絞った産業で関税率を2倍または3倍とする。範囲は引き続き不明だ。
関係者の1人によれば、どの品目を関税率引き上げの対象にし、米国の成長促進に必要なことを理由にどの品目を除外するかを含め、バイデン大統領とスタッフはこの数週間を措置の取りまとめに費やした。最終決定には全員の一致があったという。
どの品目が除外されるかは不明であるものの、大統領が関税率引き下げを発表する方針はないと、2人の関係者は話した。バイデン政権は太陽電池パネル部品の製造に使われる機器を含め、一部品目を除外する方針を太陽光発電産業に示唆した。
現行の関税が中国からクリーンエネルギーのサプライチェーンを奪取するという米政権の目標を損なっているとして、機器メーカーの一部がこうした転換を求めていた。
バイデン大統領が予定している目玉の発表には、11月の米大統領選の影響が色濃く反映されている。大統領は中国に対する断固たる措置を講じる一方、共和党候補指名を確実にしたトランプ前大統領との差別化を図ろうとしている。
トランプ氏はホワイトハウス返り咲きを果たした場合、対中関税を全面的に引き上げる考えを示しており、バイデン政権としてはこうした考えは行き過ぎだとみている。
バイデン政権、中国EVなど主要分野に関税賦課の方向-関係者
1月まで米通商代表部(USTR)で法律顧問を務め、現在は法律事務所ワイリー・レインのパートナー、グレタ・ペイシュ氏はバイデン政権について、「長期にわたり懸念されてきたセクターに重点を置いている」と語る。