歯医者が警告、歯磨きで“歯間清掃”しない人は「歯磨きをしていないのと同じ」/歯科医師・野尻真里
②歯間清掃は“歯磨きの前にする”のが今の常識
そして気をつけてほしいことの二つ目は、歯間清掃は“歯磨きの前にする”ということです。 歯磨きをする前に行うことでの利点は、3点あります。 まず、歯磨き前に歯間清掃をした方が後にするよりも清掃効果が高いという論文(※2)が出ており証明されているためです。 次に、歯磨き粉に含まれるフッ素などの薬効成分が歯間に届きやすくなるということも論文で証明されています。 たしかに、歯と歯の間のプラークがしっかりと落ちている状態の方が、歯磨き粉に含まれる薬効成分が行き渡る印象はありますよね。 最後に、うがいの回数が減ることで歯磨き粉に含まれるフッ素がお口の中に残りやすいことです。フッ素はむし歯予防に有効であるため歯に長く停滞させる必要があります。 歯磨きの後に歯間清掃をするとしたら、歯磨きをしてうがいをし、歯間清掃をしてまたうがいがしたくなりますよね。むし歯予防に有効なうがいの方法に“イエテボリ法”というものがあります。 これは、歯磨き粉のフッ素を歯に長く停滞させるために、歯磨き後のうがいは、1回だけで5秒のみにしましょう、という方法です。うがいをしすぎてしまうと、せっかく歯に作用しているフッ素が全て吐き出されてしまい、歯に長く停滞しません。1回のうがいでは気持ち悪いのであれば、最低でも2回ほどに留めておきましょう。 歯間清掃を歯磨き前にするのであれば、まだ歯磨き粉を使用する前なので、歯間清掃後たくさんお口をゆすいでから歯磨きをしてOKです。 歯磨き前に歯間清掃をするだけでこんなにも良いことがあるのです。 (※2)参考文献(Mazhari F, Boskabady M, Moeintaghavi A, Habibi A. The effect of toothbrushing and flossing sequence on interdental plaque reduction and fluoride retention: A randomized controlled clinical trial. J Periodontol. 2018 Jul;89(7):824-832. )