数ある“破風山”それぞれの読み方がわかれば通! 皆野アルプスの主峰「破風山」が低山ながらも登り応え120%
全国に多数ある山名といえば駒ケ岳が思いつくかと思います。日本アルプスに木曽、甲斐の2座がありますし、その他有名どころでは秋田、会津に越後駒ケ岳があります。マニアックな説では全国で23座に及び、あの白馬岳も古い呼び名で上駒ケ岳(岳は本来は嶽)とされていたそうです。同様に全国的に散らばる山名の一つに破風山もありますが、こちらは読み方でその山の場所がわかります。 【写真】見どころ盛り沢山の皆野アルプス・破風山登山の魅力をチェックする(全18枚)
数ある破風山でもっともメジャーな低山は皆野にあり
破風山といえば、標高順で言えばまずは奥秩父山系は雁坂峠の西側に位置する標高2318mの「はふうさん」。「はふさん」とも呼ぶようで出典によって表記が違うようです。そして同じく山梨県は河口湖~御坂山塊に連なる笛吹市の「はふうざん」の1671mがあります。そして標高626.5mですが埼玉県皆野にある「はっふざん(皆野町観光課のマップでは『はっぷさん』表記)」です。ここで取り上げるのは3番目ですが、秩父を代表する人気低山です。ちなみに群馬県みなかみにも破風山(標高1068m)があり「はふやま」となるようです。 皆野の破風山は前編としてご紹介した皆野アルプス・前原尾根ルートをはじめ、秩父鉄道皆野駅から町営バスで風戸登山口や札所前の水潜寺登山口、そして秩父の名瀑・華厳の滝に近い上沢辺の登山口など数カ所あり、また駐車場も3カ所利用できることでマイカー派の方々に親しまれています。
風戸登山口から秩父の絶景を堪能できる破風山頂へ
ここではもっとも利用者の多い風戸(ふっと)分岐からの関東ふれあいの道をたどることにします。風戸分岐へは大渕登山口から前原山を越えて男体拝(なんたいおがみ)を通る前原尾根と、風戸入口バス停からの日野橋登山口からの2ルートとなります。後者の日野橋登山口ルートには、近接の入浴施設である秩父温泉・満願の湯奥にある町営駐車場からも合流できます。 風戸の分岐からは本格登山道になり、この先に岩場の名所が続出します。皆野アルプスの核心ゾーンとも言えます。登山道にも「山靴の道 コース入口(注)急坂・岩場あり」の注意喚起の標識があります。しっかり登山靴の絵柄に切り取った手製の案内板に、管理されている方々の山好き感を感じます。 まずは15分ほどで取り付く猿岩。猿の横顔に似ていることから命名されたとか。猿岩を過ぎて、上りの登山道の先に東屋があります。立派な設えで、多人数で休憩が取れる建屋です。風戸から上がってきた登山者には、ちょうど2kmを過ぎた絶好のポイントかもしれませんね。この東屋から先はやや痩せ尾根となります。アセビで知られるヤセ尾根に注意を払って破風山頂に飛び出ます。 パノラマ絶景の破風山頂は南側全面に秩父盆地が広がり、のどかな田園風景を披露します。その背後に連なるは奥多摩の長沢背稜の峰々。東側から天目山、酉谷山、雲取山、飛龍山などの奥多摩の人気の稜線が広がります。さらに西側に雁坂嶺、甲武信ヶ岳、両神山の奥秩父の峻険が並びます。奥多摩・奥秩父ファンにはたまらない眺望ですね。背後の北側には武尊山、赤城山の上州組から東に、日光白根山を挟んで足尾の庚申山、日光連山・男体山などの頂を捉えることができます。