イメージと違ったトランプ支持者、人口250人の町で見た「草の根民主主義」 アイオワ州の町長宅で開かれた共和党員集会【混沌の超大国2024 アメリカ大統領選③】
集会では20代の若者から「エスタブリッシュメント(既存の支配層)に任せたらどうなるかは、(民主党のバイデン政権の)3年間で分かっただろう。トランプ氏はエスタブリッシュメントでなく、われわれの側だ」と主張した。 集会後、この発言者に「トランプ氏は富裕層だが『われわれの側』と言えるのか」と問うと「トランプ氏は少なくとも政治家ではない。今、必要なのは非政治家による政治なんだ」と熱弁。「経済は堅調だ」とアピールするバイデン政権について「物価は上がるのに給料は上がらない。生活は苦しく、バイデン氏はうそつきだ」と批判した。 ▽自宅開催は「伝統だもの」 党員集会の結果を伝え終えると、マクナット町長は「共和党候補への投票は、成功を保証するものではないかもしれない。でも、民主党に投票すれば、失敗を保証するわ」とにやり。会場はこの日、一番の盛り上がりを見せた。 マクナット町長は子や孫と3代で集会に参加した。息子ジョンさん(53)は「小さな町の集会だけど、大統領選への第一歩。そこで自分の意見を伝えられるのは素晴らしいことだ。しかも、自分の育った家でね」と党員集会の意義を語る。町長になぜ自宅で集会を開くのか問うと「伝統だもの。素晴らしい議論ができたでしょう」。満面の笑みが返ってきた。
× × × トランプ氏は初戦のアイオワ州党員集会で圧勝し、第2戦のニューハンプシャー州予備選もヘイリー氏を破り、勢いに乗る。取材をしていると、バイデン政権関係者や民主党支持者から「議会襲撃を扇動するようなトランプ氏を支持するなんて理解できない」との話を聞くことがある。 しかし、私が出会ったトランプ支持者は、同意とまではいかなくとも理解のできるそれぞれの支持理由を持っていた。それを十把ひとからげにして「おかしな人々」と突き放すのは、バイデン政権への国民の不満を見過ごすことにはならないか。不満に真摯に向き合わなければ、選挙で報いを受けることになるかもしれない。