草履をルーツに持つ「JOJO Naitou」に込められた履物文化への思いとは?
待ちゆく人の足元を見てみると、揃いも揃って革靴やヒール、スニーカーを履いている。おそらく履物だけを見ると、そこが日本なのか判断できないかもしれない。それほど日本の履物は西洋の文化に染まっている。 古来、日本の履物といえば草履や下駄だった。着物は晴れ着として、いまでは日常で着る機会は少なくなった。しかし、そこに待ったをかけるのが、祇園ない藤の当主である内藤誠治さんだ。 「その土地の風土から出たものが、その国の人にもっとも適している」という考えから、草履を現代の生活に落とし込んだ「JOJO Naitou」を製作したという。 どうやら、草履には私たちの知らない魅力が隠れているようだ。そこで今回、内藤さんに日本の草履文化、そして「JOJO Naitou」に込めた思いをお伺いした。
指股の数mmが要
ー「JOJO Naitou」の製作経緯を教えてください。 2013年に販売を始めましたが、きっかけは2011年です。東日本大震災があり、地震鎮めの祈祷をする神主さんがインドへ行くというので、声をかけていただき同行しました。 インドは日本と同じで、靴を脱ぐ文化があります。世界中から聖者が集まってくるので、礼拝堂の入り口には何百という履物が並んでいました。ですが、多様な履物があるにもかかわらず、欲しいと思う履物が一足もなかったのです。 世界にも私が欲しいと思う履物がないのなら、現代の暮らしに合わせた扱いやすい素材を使って自分で作り直してみようと思ったのが始まりです。 ー「JOJO Naitou」は草履をルーツに持つと聞きました。 最近はスマートフォンやデスクワークが原因で、人々の姿勢が悪くなっていると聞きました。ですが、私は靴が理由だと考えています。というのも、スニーカーやヒール、ブーツなどは日本人の身体に合った道具ではないからです。 私たちの骨格や筋力、DNAに合った道具を使うと、姿勢は自然と正しい位置で保たれるはずですし、それらはその土地の風土から生まれると考えています。では、日本人の伝統的な履物はなにか。答えは草履しかありません。 草履は非常に理にかなった履物です。人間は頭が重く、バランスを取るときにはかかとではなく指先に力がかかります。もっと正確に言えば、草履の鼻緒にかかる指股のわずか3~5mmです。ですから、草履を履いたときにかかとが出るのは正しいかたちなのです。