草履をルーツに持つ「JOJO Naitou」に込められた履物文化への思いとは?
ー既存の考えを改めるという理念は、デザインにも反映されていますか。 商品のラインナップですが、新商品として「EARTH」「VITAMIN」「ENAMEL」というシリーズがあります。また扱っている素材も、従来でしたら木や革を使っていたところを、新素材であるEVA樹脂素材やゴム、シリコンなどに代替しました。 お客様のなかには、和装の履物をカラフルにしちゃって、エナメルなんてもってのほかと思われる方もいるかもしれません。ですが、いまの時代は自己表現が可能な時代、本当に好きなものがなにかを、自分の暮らしやルーツに照らし合わせて、自分と向き合う時代だと思います。 これだけいろいろと挑戦をしていますが、「JOJO Naitou」を販売しはじめてから、一度も形を変えていません。ファッションは毎年流行を追い、シーズンごとにデザインが変わりながら消費されていきますが、私は変わらないことに誇りを持っています。 着想の段階から日本の風土に適したものを作るという信念があったので、他のものに惑わされずにここまで来られたのです。
ー海外から取材を受けるなど、「JOJO Naitou」の注目度は高まっているように思います。 私としては、まったく満足していません。国内でも、ファッションに敏感な人たちに届いているくらいだと思っています。 先ほどビーチサンダルの話がありましたが、いまではあらゆる国で販売されています。それは、私たちの「JOJO Naitou」も世界に受け入れられる可能性があるということです。おそらく、多くの人が歩くことへの関心がまだまだ低い状態です。だからこそ、そこにブルーオーシャンが広がっていると感じています。 コロナ禍になる前は、毎年パリの展示会に出展したり、アメリカ市場での販売も視野に入れたりと動いていました。ですが、文化の違いを理由に好意的に受け入れてもらえず、このままでは持続可能なビジネスにならないと感じました。まずは、海外の人に合わせた履物を作るべきなのかと悩んだこともあります。 ですが、あるときお告げがありました。「それはお前の仕事じゃない」と。 はっとしましたね。私がすべきは、身体を動かすために最適な履物を作ることだと再認識しました。