草履をルーツに持つ「JOJO Naitou」に込められた履物文化への思いとは?
履物は平和の象徴
ー最後に「JOJO Naitou」を通して伝えたいことを教えてください。 『暮しの手帖』を創刊した花森安治さんが戦後に『スタイルブック』という雑誌を編集しており、なぜか実家の神棚から出てきました。1946年夏の巻頭には、こう書かれています。 「どんなに みじめな気持ちでいるときでも つつましい おしゃれ心を失わないでいよう かなしい明け暮れを過しているときこそ きよらかな おしゃれ心に灯を点けよう」 おしゃれは、自分の生きる道を照らしてくれるもの、いわば生き様だと思っています。これが先祖からの教えでもあるのでしょう。 私にとって、履物は平和の象徴です。逃げるためのものでもなく、誰かを襲うためのものでもない。つまり、清らかで安全な環境を表す記号なのです。 ですが、世界中の人々はそのように考えていません。だからこそ、世界中の人々に「JOJO Naitou」を通して、すこしでも平和について考えたり、自分にとってファッションとはなにかを振り返ってみたりしてほしいと思います。 *ない藤では、草履を装履と下駄を木履(もくり)、鼻緒を花緒と表記するが、今回は現在の習慣に合わせた表記にしてある。