到着から3週間、はやぶさ2の現状(全文1)今までにないサンプル得られる可能性
小惑星探査で最初にやる仕事とは
じゃあ続きまして11ページをお願いします。実はこういった小惑星について、最初にわれわれがやる仕事は何かっていうと、ああいった形状モデルを作りながら地図を作るということです。地図っていうのは、地球の地図も思い浮かべていただくと、経度と緯度っていうのが書かれてますね。小惑星はもちろん初めて人類が目にするわけだから、誰か決められたグリニッジが上にあるわけではないので、われわれがそのグリニッジに当たる場所を決めなくてはいけません。そうして選ばれた地点っていうのがこれ、左側の図を見ていただくと、縦に2個、比較的大きな岩が上下に並んでいるのが見えると思います。 この下側の岩ですね。この下側の岩が赤道にちょうど近くて非常に目立ちやすいという特徴がありますので、ここを経度の原点にしてはどうかということをプロジェクト内で決めまして、それを拡大画像を中央、さらに拡大したのを右としまして、ちょうど岩の真ん中を通る、これ岩の真ん中にちょっと出臍のように出っ張った部分があるので、そこを経度0度と決めたということで、そこを元に全体の座標系を決めていくっていうことをしています。 ちょっと注意していただきたいのは、実はサイエンスとこの皆さんに公開しているのとは少し違うとこがあって、画像の上下が逆になります。というのは、サイエンスの定義では右回りになっている、小惑星が右回りになるように極を決めるという、小惑星の極の決め方のルールがありまして、右回りになるようにした上側を北極と呼びます。ところがこれ、残念ながら地球の北極とは正反対になります、このリュウグウの場合には。 一般の方には分かりにくいということで、広報画像は普通の、上が地球と同じ向き、地球の北極が太陽系において向いている向きに北と呼んで公開してます。だからちょっと専門とそこはずれがあるので、それをご注意ください。この経度0度を選ばれたこの図は、上がそういう意味で専門家が使うほうの北、つまり一般で今まで言っていた画像では下のほうが上になっています。よろしいですか。