未来のエネルギー源となるか。核融合のための国際実験炉が完成
20年越しです。 国際熱核融合エネルギープロジェクトITER(イーター)は、核融合実験のための実験炉の準備が整った、と報じました。 【全画像をみる】未来のエネルギー源となるか。核融合のための国際実験炉が完成 ITERとは、核融合がエネルギー源として実現可能かどうかをテストする国際熱核実験炉を建設するための35カ国の共同プロジェクト。 そのITERのリリースによると、最初のプラズマを生成するための準備(実験開始の準備)が整ったとのことです。
国際熱核実験炉ってどんな装置?
核融合は2つ以上の原子の軽い原子核が結合して単一の原子核を形成する過程で大量のエネルギーを放出する反応です。核融合は自然界で発生し、宇宙のエネルギー源となっている反応ですが、地球上では自然には起こりません。 熱核実験炉は、そんな核融合の反応を作為的に起こすもの。ITERの熱核実験炉は、トカマク型と呼ばれる、ドーナツ型の真空容器内でプラズマを保持する磁気閉じ込め方式を採用しています。 核融合反応を促進することは容易ではないですが、理論上は無限のエネルギーを生み出すことが可能です。 実験炉は、トーラス型真空容器の周りに配置された超伝導コイルによる磁場と、プラズマ中に流れる電流との作用によりプラズマを閉じ込めます。 ITERのトロイダル磁石(実験用の磁石)は、摂氏-269度まで冷却され、超電導状態になります。この高さ17mのコイルでは、プラズマがドーナツ型の容器の周りに巻き付けられ、真空容器内の核融合を制御できるようになります。 ITERは、最大規模の実験炉で、110トンの6つの磁石モジュールから成る中心ソレノイドコイルを備えています。実験炉全体の重さは2万3000トンにもなり、その磁石は地球全体が生成する磁場の約30万倍の強力な磁場を生成します。 プラズマは摂氏1億5000万度、太陽中心部の10倍もの暑さになります。ITERは、来年に初のプラズマ生成を予定していて、初の核融合反応は2035年を予定しています。