放置で「死に至る病」へ、危険な ”肝臓の盲点”…絶対に見逃してはいけない健康診断の項目
医師から「飲み過ぎですね」と指摘されるも、酒はたしなむ程度で、肝臓の数値を悪くするほど飲んでいるわけではない……。いま“飲酒”ではなく、肝臓を悪くする人が増えていると話すのは、チャンネル登録者数75万人超の人気YouTube「予防医学ch」を運営する現役医師・森勇磨氏。同氏の新刊で、100冊分の健康書ベストセラーを1冊に要約した『予防医学で健康不安は消せる! 100年長生き』より一部編集・抜粋し、「死に至る病」にもつながる、見落としがちな肝臓の悪化原因について解説します。 【マンガ】「長者番付1位」になった「会社員」の「スゴすぎる投資術」の全容
放置すれば肝臓がん、脳血管障害へ
「健診で肝臓の数値が悪くて……」と言われれば、「あー、飲み過ぎ」と思うでしょう。ところが最近、お酒は大して飲まないのに肝臓を悪くする人が増えています。 それが、肝臓外科医の尾形哲さんの『肝臓から脂肪を落とす食事術』でテーマとなっている非アルコール性脂肪肝です。尾形さんは、長野の病院で肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善の専門外来をされています。脂肪肝はなぜか軽んじられがちですが、放置すれば肝臓で炎症を起こし、肝臓の細胞を壊し、やがては肝硬変や肝臓がんといった死に至る病にも。なおかつ、脂肪肝の人は中性脂肪値も高かったり、糖尿病や糖尿病予備軍の人も多かったりと、「糖尿病や脳血管障害などの生活習慣病の始まり」でもある、と尾形さんは指摘します。 ところが、肝臓はかなり悪化するまで症状が出ません。そのため気づいたときには深刻な状態に陥っていた、なんてことが少なくないのです。尾形さんの本は、専門外来を受診した3人の患者さんが“O先生”のアドバイスを受けながら食生活を変え、健康を取り戻す物語になっていて、そのなかでO先生が患者さんにこんなふうに語りかけるシーンがあります。
放置してはいけない、健康診断の項目
肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれていて、肝硬変の末期まで黄疸や腹水といった症状はほとんど出ません。だから、検査の数値が重要な手がかりなんです。 『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』より つまり、健康診断で「AST」「ALT」「―GTP」という項目が悪かったら放置してはいけないということ。これらは肝臓に多く存在する酵素で、肝臓がダメージを受けると血液中に放出され、値が高くなるのです。 本来はこれらの数値に問題があればすぐに生活習慣を見直してほしいのですが、数値だけでは重い腰を上げられない人は少なくありません。その場合、私は超音波検査で肝臓がキラキラ輝く様子を見てもらうようにしています。超音波を当てると、脂肪肝の人の肝臓は白く光って見えるのです。