到着から3週間、はやぶさ2の現状(全文1)今までにないサンプル得られる可能性
期待されるサイエンス成果について
じゃあ私の説明は最後になりますが、15ページ目になりまして、期待されるサイエンス成果ということで、まだまだこれからサイエンスっていうのは、実はいろいろな証拠を積み上げていろんなことを言っていかなければならないので、そのためには観測された画像からすぐ何かを言うのではなくて、それを精密に、いろいろなキャリブレーションを行って明るさの調整をし、それをほかの画像と正確に位置合わせをしてっていう作業が要ります。そういったものを進めながらこれからいろんなことを整理して、論文等に発表をしていきたいと考えています。ですが、今のところ分かっていることを少しお伝えしておきますと、やはり非常にわれわれが驚いたのは、地上であらゆる隕石って、ものすごい数が手に取られてるんですが、それとどの反射スペクトルとも合わない、まったく新しいスタイルをした特徴を持っています。 実はそういったものは小惑星や水星に一部知られていたんですが、実はそれとはよく合っているので、おそらく地上に今まで隕石としてわれわれが持っていないようなサンプル、それがリュウグウから得られるんじゃないかとわれわれは期待していると。非常に表面が暗いので炭素質物質がかなりたくさん存在するんじゃないかと、これはまだ推測の段階ですが、そういったことも期待を込めながら考えていて、そういったことも含めて、どこに降りてどういうサンプルを採るのが良いのかっていうのを今後、精密な解析をしながら考えていきたいと考えています。 それから最後にリュウグウの、自身が問題ではなくて、さらにリュウグウの元となった、われわれは微惑星というんですが、惑星の材料物質の天体がどういうものかを知ることができるというのがこのミッションの最大の眼目でありますので、その天体を再構成するためにいろんなことをしていきたいと。がれきが集まった天体だということを示唆していますので、そういったものをいろいろ比較することによって、元の母天体のどの部分からきたものなのか、そういったことを明らかにしていけるのではないかと考えています。 そういったことを基に理想的なサンプルを採ってこれるように科学的な評価を進めるとともに、岩がいろいろあるので安全性も十分確認しながら、今後の探査を進めていきたいと考えています。こういった帰還サンプルによる検証や、さらにもう1つ、アメリカでもOSIRIS-RExというのが、非常によく似た小惑星のベンヌっていうのに今向かっておりますから、そういったデータも比較することによって、今後非常に小惑星の科学、さらにはそれを元にして太陽系の起源に迫るような科学が進展するものと期待しています。私からの説明は以上です。 【連載】はやぶさ2の現状をJAXAが報告 全文2へ続く