ユニオン ランチのテーラードジャケット 情熱とこだわり凝縮
■共同体として行動し、仕事だけど楽しむ!
ジャケットづくりの経緯を伺うなかで、依頼する人々との関係をとても大切にし、そこから生まれる縁にも恵まれていることが印象的でした。関わる人すべてをチームと考え、一着のジャケットをつくり上げていることが大きな魅力です。 ユニオン ランチがパーパスとして掲げているのは「共同体として服をつくる」こと。それは職人と消費者の間に立ち、未来へつながるものづくりであり、服だけにとどまらず、異業種との協業企画への取り組みでも発揮されています。
■富山へ移住、さらに懐深く
神奈川県出身で東京での暮らしが長かった加藤さんですが、現在は富山県在住。東日本大震災をきっかけに、夫の先導で何も縁のない土地への移住を決意。折しも北陸新幹線開通目前だったこともあり、東京での仕事の往復には支障がないと考えてのことだったそうです。 8年余りたった今ではすっかり富山にもなじみ、自らキュレーションし「町をつなぐプロジェクト|ザ ・マーケット」という地域を活性化する取り組みを行ったり、隈研吾氏が建築・設計を担当した複合施設「ヘルジアン・ウッド」(富山県立山町)ではユニホームも担当しています。
■1着のジャケット その裏に利他の精神あり
変化の多い女性のファッションのなかから、何年も着られる永遠の一着にはなかなか出合えないもの。「工場の社長がリタリアするときに、加藤さんと仕事をして楽しかったよ」と思ってほしいというのがユニオン ランチの原点。まだサステナビリティー(持続可能性)という言葉さえ普及していなかった時代、加藤さんの心にあったのは職人へのシンプルな敬意でした。 こだわりが詰まったユニオン ランチのジャケットをワードローブに加えたなら、きっと心の豊かさまでに手に入れることができるはずです。 文:古泉洋子(ファッションエディター)
古泉洋子
インターナショナルなモード誌や女性誌で30年以上のキャリアを持つ。企画立案からファッションディレクション、執筆まで手がけ、記憶に残る誌面づくりに定評がある。最近は育った街、金沢の魅力を伝える旅や食企画にも携わる。ポッドキャスト「毎日がアペリティーボ」も配信。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。