国学院久我山の「必須アイテム」 3者連続バントで初の8強 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第7日の25日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦があり、国学院久我山(東京)が6―3で高知を破り、春夏通じて甲子園で初のベスト8入りを果たした。流れをつかんだのは、意表を突くバントだった。 【国学院久我山、初の8強 熱戦を写真で】 虚を突かれたような相手選手の動揺ぶりだけでなく、スタンドのどよめきも意外性を表していた。国学院久我山はわずかに見えた相手の隙(すき)を逃さず、五回に3者連続でバントを成功させた。 高知が2番手の川竹を投入した五回。尾崎監督は先頭の9番・萩野にセーフティーバントのサインを出した。萩野は3球目の直球をマウンドから一塁側に向かう川竹の逆側に転がし、絶妙なバントを成功させた。 1番・斎藤も流れを切らさない。相手の動揺を察したかのように初球の直球を三塁に転がしてセーフティーバントを決め(記録は犠打と三塁手の失策)、一、三塁と好機を広げた。さらに続く上田も「内野手が前にきていない」と初球の140キロ直球をセーフティースクイズ成功。3者ともにサインプレーを遂行し、したたかに1点をもぎとった。 狙い通りだった。相手の川竹は最速144キロの直球の球威で押すタイプ。尾崎監督は「パワーピッチャーなので、(球が)ドンと来るだろうというところで意表を突く作戦だった」と、変化球が少ない配球とみた相手バッテリーの心理を突いた。リードはわずか1点だっただけに、五回の「2点」で優位に立った。 昨秋から目指してきたのは、駆け引きしながら1点を奪う野球だ。4番・下川辺も「相手が打ってくるだろうというのが意識の中であるから、確実に転がせば成功する」と、一回にセーフティースクイズで先制点をもたらした。「1点をとりに行く全員野球の中で、選手をつなぐ必須アイテムがバント」と尾崎監督。快音を響かせずして主導権を握り、初の甲子園2勝を達成した。【浅妻博之】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。