鹿島がサポーター反発のヴァイラー前監督“電撃解任”理由を詳しく説明…補強などを巡るフロントとの“ズレ”が拡大
電撃的な指揮官交代に踏み切った、鹿島アントラーズの吉岡宗重フットボールダイレクター(44)が9日にオンライン取材に応じ、レネ・ヴァイラー前監督(48)を解任した理由に言及した。就任1年目のヴァイラー前監督に関して、吉岡氏は「マネジメント方法の違いをお互いに議論するなかで、落としどころが見つけられなくなった」と契約を解除した経緯を説明。同じくオンライン取材に臨んだ岩政大樹新監督(40)を支え、強い鹿島を復活させたいと力を込めた。
「これ以上(ヴァイラー監督体制を)続けることがクラブの発展になるのか」
監督として初めて臨んだ練習を指揮した直後とあって、ちょっぴりかすれた声で質疑応答に応じた岩政新監督に続いて、トップチームの編成および強化を司る吉岡フットボールダイレクターがメディアによるオンライン取材に応じた。 まずは夏場に入って失速したとはいえ、J1戦線で5位につけている状況で、就任からわずか半年でヴァイラー前監督を解任した理由が問われた。吉岡氏は「かなり議論を重ねてきた」と切り出し、慎重に言葉を選びながら具体的な理由に言及した。 「ここまでのフットボールの内容もあるが、まずはマネジメント方法の違いを互いに議論するなかで、落としどころが見つけられなくなったことが大きな理由。譲れるポイントと譲れないポイントとが平行線をたどっていたなかで、お互いにストレスというか、我慢していたのも事実。レネさんの我慢、コーチングスタッフの我慢、選手たちの我慢があるなかで、これ以上続けることがクラブの発展になるのかと判断した」 チームマネジメントにおいて、鹿島は他のクラブと一線を画してきた。 コーチ、強化育成課長、強化部長、そしてフットボールダイレクターとして黎明期から鹿島の歴史のすべてに関わり、昨年末をもって退任した鈴木満氏(現強化アドバイザー)は、鹿島におけるフロントと現場の関係をこう語っていた。 「そのシーズンの編成を終えて監督に任せるのではなく、その後もいかにフロントや強化部がグラウンドに絡んでいけるか。その作業を怠れば監督によって方向性が変わり、サッカーそのものも変わってくる。なので、われわれは鹿島アントラーズの考え方を監督にレクチャーした上で方針を示し、監督自身の希望も取り入れていく方法を採り入れてきた。選手起用やシステムはその監督の判断で自由に決めていいけれども、3割はこちらの考え方を受け入れて、その上に家を建ててほしいと要望してきた」 パウロ・アウトゥオリ監督が1年で退任した2006シーズンのように、フロントと現場の意見の食い違いが修復不能の状態を招いた例もある。トータルで約8年半にわたって指揮を執り、5個のタイトルを獲得したトニーニョ・セレーゾ監督も、冗談まじりに「こんなに口うるさく言われるクラブはなかなかない」と語っていた。