AIが歌う「シングルベッド」に人は感動できるか つんく♂、AI研究者の酒巻氏と語る
既存の法律が新しい枠組みに追いつかない
音楽業界、エンタメ業界の未来の可能性を考えたとき、AIの導入に際してどういう取り組みが求められるのだろうか。 つんく♂:やっぱり僕らクリエイター側からは、たとえばつんく♂のメソッドを使った場合はこれだけ分配しますよみたいな、それが構築されるのが一番。そういうクリエイターへの還元、バランスみたいなものが、ちゃんと構築されたほうが発展するだろうな。 酒巻:法整備がまだ上手く出来ていないと思います。なので危なそうだと怒る人が出てくる気もするんですよね。YouTubeやSpotifyなどなど、どの新しいビジネスも、ビジネスを本気で作ろうとした人が、ていねいに法律や感情を整頓して行くことをやったのだと思います。こういうものに取り組まないとAIとエンタメの新しくよい関係性を持つような業界が進んでいかないのかな?とも思ってます。つんく♂さんの発見したパターンを構造化し、このパターンを使ったら相応にお金を支払ってくださいねっていうのは、技術的にはありものの組み合わせで出来ちゃうと思うのですが、既存の法律が新しい枠組みに追いつかない気がしています。ここがAIとエンタメが良い関係になれるかどうかの課題だとは思います。 (取材・文:志和浩司)
■つんく♂ 音楽家・エンターテインメントプロデューサー、作詞家、作曲家、TNX株式会社代表取締役社長。 1988年にロックバンド「シャ乱Q」を結成、1992年にメジャーデビュー。その後「モーニング娘。」をプロデュースしハロー!プロジェクトを始め数々のアーティストのプロデュースや楽曲提供などを手がける。 2021年2月に坂本龍一氏との共同制作で小児がん治療支援チャリティーライヴのテーマソング「My Hero~奇跡の唄~」を発表。 2021年7月、大阪・関西万博大阪パビリオン推進委員会スーパーバイザーに就任。 ■酒巻隆治(さかまき・りゅうじ) DataPOP株式会社代表、大手通信会社、EC会社での研究職を経て、DATAをビジネス活用する会社を創業。コンサルティング、企業研修、セミナーからDATA処理基盤構築、AI研究開発まで、DATAのビジネス活用に関わるニーズに対応。現在AI音楽アプリの開発を行う。