AIが歌う「シングルベッド」に人は感動できるか つんく♂、AI研究者の酒巻氏と語る
進化するAI技術 曖昧なものをどう取るかが課題
音楽の分野でもAIが曲を自動生成する技術をはじめ、アーティストの作品制作のプロセスをアシストすることなども期待されている。これまで数々のヒット曲を作ってきたつんく♂はAIに対し、どのようなイメージを抱いているのか。 つんく♂:作品から抜き出したもののかけ合わせだと思うんだけど、それが予測できないものなのか、あくまでも組み合わせでしかないのかで違ってくる。ぜんぜん違う何かを創造出来るならわれわれクリエイターも危機感を抱くことになるんだけど、Chat GPTも調べ物は早いけど、ちょっと考えるようなことはまだ出来ない。まあ、1年経ったら進化しているかもしれないけどね。 酒巻:おっしゃる通り組み合わせです。AIは何かをデータで渡したとき、そこからパターンを抜く数学の技術集なんです。たとえば音や歌詞を入れて、そこから何らかの類似パターンを見つけることは技術的には出来ます。しかし人々が共感するような新しい何かはまだ作れません。人々の共感に関する学習データがまだまだ少ないからです。いまは類似パターンを見つけ、これらを組み合わせて、新しく感じさせるものは出来るかもしれません。でも人が感じているような、まだ見つかっていなかった感覚や言葉に出来ていなかった知覚「あ。あれね。そうそう」という発見への共感に関するデータが少ないと考えます。データがあればAIはチカラとなりますが、データがない場合チカラは発揮できません。したがって共感を持つような新しい何かをつくるのはやっぱり人ではないでしょうか? つんく♂:あるものをマッチングさせてください、みたいなことは楽になって行くかもしれないよね。全曲ドライブに似合う10曲だとか。課題としては、曖昧なものをどう取るかでしょ。3時間、楽しいイベントをどう作ればいい?みたいな曖昧な質問に答えを出してくれるAI。何か作る側からしたら、ヒントをもらうのにいいのかもしれないね。