JALの新パートナー! インド最強LCC「インディゴ」が、自国でシェア60%を誇る3つの理由
厳しい規制を超えての成功
インディゴの優れたところは、インドという厳しい市場で強さを発揮している点だ。 インドは、国際空港輸送協会(IATA)の予測によれば、2030年までに中国や米国を抜き、最大の航空旅客市場になるとされており、市場規模や成長率は非常に高い。しかし、インドはかつて社会主義的な国家運営をしていたため、民間企業に対する規制が非常に厳しく、悪名高い。航空業界も例外ではなく、2010年代まで次のような規制・制度が置かれていた。 ・インドの航空会社への外資出資は一切禁止。 ・航空会社は国営インド石油を通じて燃料を購入し、手数料を支払わなければならない。インドルピーが下落しても他の調達先は認められない。 ・航空燃料の価格は地方政府が設定し、税収確保のため高い課税がかけられる。税率は最大で30%となる地域もあり、世界最高レベル。 ・インディアの航空会社が国際線に参入するには、国内線で5年以上の実績と、20機以上の機材を導入しなければならない。 ・空港使用料も高く、ニューデリーではロンドン・ヒースロー空港に次いで高い(長年世界一と言われた成田よりも高い)。 ・ニューデリーやムンバイといった大都市でも、第二空港がなく、どの航空会社も混雑するひとつの空港を使用しなければならない。 これらの規制は、同じく規制が厳しい日本や中国に匹敵するほど厳しく、多くの航空会社が経営に苦しんだ。規制の背景には、国営のエアインディアを守るためという理由もあったが、エアインディア自身も規制が厳しすぎてビジネスチャンスをつかめず、赤字に苦しんでいた。 2010年代には、ルピー安や燃料費高騰の影響で、多くの航空会社が経営破綻した。かつてシェア1位だったキングフィッシャー航空やジェットエアウェイズが破綻し、東南アジアから進出したエアアジアも撤退した。 そんななか、インディゴは唯一安定した業績を保ち、黒字を確保し続けていた。これこそがインディゴの戦略の優秀さを物語っている。