認知症の親にイライラしてしまうのは親不孝?懸命に介護するほど、ストレスは溜まっていくもの。「いい加減にして!」と言う前に考えるべきこと
◆イライラすると強い言葉が出てしまう Q. 「いい加減にして! 」「ふざけないで! 」と強い言葉で否定してしまった 何度も同じ行動を繰り返す親にイライラして、つい声を荒らげてしまいます……。強く言うことがよくないとわかっていても止められない時があります。すぐに謝るのですが、謝罪を理解してくれているのでしょうか。 A. 認知症の人は自分の言動が他人にどのように思われているかを気遣うことができなくなっていますし、そもそも同じ言動を取りやすいという傾向があります。 介護者にとっては、本人のためと思っていても、いつも同じことを注意することの繰り返しにストレスが溜まり、ついつい強い言葉をぶつけてしまいがちです。懸命に介護しようとすればするほど、そうしたことへのイライラが高まってしまうものなのです。
◆認知症の人特有の論理 本人にとっては、実はとても気になっていることであったり、大事なことだったりする場合が多いのですが、「いい加減にして!」は、家族の側が、それほどのことだと認識できないときに発してしまう言葉です。 この言葉は、相手を拒否し、これ以上その言動をすることは許さないという態度を相手に認めさせようとすることにもなるので、注意が必要です。 認知症の人独自の論理を理解するのは難しいのですが、健常者の論理で考えてしまうと、なぜそうした言動をするのかがわかりません。「ふざけないで!」は、そのために出てしまう言葉なのです。認知症の人特有の論理を理解しようと考えてみることが必要です。 ※本稿は、『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです
佐藤眞一,島影真奈美