天皇陛下62歳に 「人と人との交流が国や地域の境界を超え、お互いを認め合う平和な世界に」
THE PAGE(宮内庁提供映像)
天皇陛下が23日、62歳の誕生日を迎えられた。それに先立ち記者会見を行い、五輪での選手同士の国境を越えた交流などを踏まえ、国家間には緊張関係が存在するケースもある中で「お互いを認め合う平和な世界につながってほしい」との思いを述べられた。地球規模の課題となっている気候変動問題改善への希望や成年を迎えられた長女愛子さまの成長ぶりにも触れた。 【動画】天皇陛下62歳に 「人と人との交流が国や地域の境界を超え、お互いを認め合う平和な世界に」
一人ひとりが被災者に寄り添い助けられる社会に
陛下はまず「この1年も新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました」と振り返られ、コロナの現場の最前線で働く医療従事者や生活困窮者らを支えるエッセンシャルワーカーらに感謝の意を表された。 昨夏や今冬に開かれた東京五輪や北京五輪では、国境を越えた選手同士の交流が見られたことに「感慨を覚えました」と語り、50年前の札幌五輪のエピソードも挙げながら、「国と国との間ではさまざまな緊張関係が今も存在しますが、人と人との交流が国や地域の境界を超えて、お互いを認め合う平和な世界につながってほしい」と願われた。 「現在人類が直面する最大の課題の一つ」として気候変動問題にも言及された。1990年代の平成初期には地球環境問題の最重要課題だった「地表に降り注ぐ紫外線を増加させるオゾン層の破壊」が、その後の国際協力やフロン回収技術などの企業努力、消費者の理解などによって「早い地域では2030年代にはオゾン層が1980年の水準にまで回復する」と国連専門機関が見通し発表するまでになった例を紹介し、「このオゾン層の回復は、地球規模で対策に臨んだ環境問題の改善の好事例として、気候変動対策に向けた努力が始まりつつある中で勇気を与えてくれるものです」と今後の展望に期待を示した。 今年の3月で11年目を迎える東日本大震災については「人々の生活や産業を支える社会基盤の整備等は進んだものの、精神的なサポートを必要とする人が近年になってむしろ増えていると伺うなど、本当の意味での復興はまだ道半ばにある」と話し、「私は、雅子とともに引き続き被災地に心を寄せていくつもりです」との思いを述べられた。 今後日本を襲う可能性のある大地震や豪雨災害をめぐっては「災害により困難な状況に陥った人々を助けようと尽力する災害ボランティアの精神は誠に尊いものです」と述べられ、「私たち一人ひとりが防災や減災の意識を高め、災害に対して自らの備えをするとともに、どこかで災害が起きた時には、一人ひとりが自らのできる範囲で被災した人々に寄り添い、その助けとなるべく行動できるような社会であってほしい」と語った。