明るい兆しが見えた9月「賃金」関連判断DI…冬のボーナスへ高まる期待【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
米や衣服などの身近な物価、気温、観光需要、実質賃金の動きなど、さまざまな要因が景気に影響を与えています。本稿では、景気の予告信号灯となり得る身近なデータとして、9月「景気ウォッチャー調査」を取り上げます。エコノミスト・宅森昭吉氏の解説をみていきましょう。 【早見表】毎月1万円を積み立て「預金」と「NISA」を比較…5年~40年でどれくらい差がつくか
9月の現状判断DI(季節調整値)は前月より1.2ポイント低下
9月「景気ウォッチャー調査」では、現状判断DI(季節調整値)が47.8となり、前月より1.2ポイント低下ですが、2ヵ月前の7月の47.5は上回りました。 米の価格上昇、秋物商材の不振など高い気温や、豪雨などの天候要因が影響したようです。9月の「米不足」関連DIをつくると、現状判断は39.6と、新米が出回り米不足は解消しつつあっても、価格が大きく上昇したことを指摘するコメントが多くありました。ただし、先行き米不足に触れるコメントは1件だけで、DIも50.0です。この影響は一時的と思われます。 また、業種別の現状判断DI(原数値)をみると、秋物衣料の売れ行き不振の、衣料品専門店の悪さが目立ちます。 方向性のデータである現状判断DIと異なり、現状水準判断DI(季節調整値)は47.9。0.1ポイントとわずかに上昇、4ヵ月連続の改善となりました。サービス関連DIは現状判断では悪化ですが、現状水準判断では改善です。現状判断DIの悪化は比較的軽微な要因によるものと思われます。 内閣府の基調判断は前回8月に7月までの「緩やかな回復基調が続いているものの、このところ弱さがみられる」から「景気は、緩やかな回復基調が続いている」に15ヵ月ぶりに上方修正となりましたが、9月は判断据え置きになりました。
今年は「遅めの秋」も…10月に気温が下がることで今後へ期待
9月20日に、福岡県太宰府市では最高気温が35℃以上の猛暑日が今年62日目となり、国内の最多記録を更新しました。9月の「猛暑」関連現状判断DIは43.4で8月45.6からさらに悪化しました。なお、2~3ヵ月先の先行き判断での「猛暑」関連DIは9月55.6です。今年は秋が来るのは遅かったですが、11月頃になり気温が落ち着けば、景気に対するマイナスの影響がなくなることを期待していることを示唆していると思われます。 九州の商店街・代表者が「6月以降は猛暑により影響を受けたが、10月に入ると気候も良くなるため、今後に期待している」と、「ややよくなる」いう判断理由をコメントしています。