明るい兆しが見えた9月「賃金」関連判断DI…冬のボーナスへ高まる期待【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
9月「外国人orインバウンド」関連現状判断DI
9月の「外国人orインバウンド」関連の現状判断DIは52.5と2ヵ月連続60を割り込みましたが、現状判断DIは22年5月から景気判断の分岐点50超が維持されています。 一方、先行き判断で「外国人orインバウンド」関連DIは、22年4月の46.9以来18ヵ月ぶりの50割れになった23年10月49.9から上昇に転じ、24年3月は23年7月69.8以来の水準である67.6まで改善してきましたが、4月以降60割れとなったものの、9月54.1と50台での推移となっています。
9月「実質賃金」関連先行き判断DI…6月・7月のボーナス効果で景気ウォッチャーのマインドに変化か
9月の賃金関連の判断DIは明るい兆しが見えたものが多かったと感じます。名目ベースの賃金自体は伸びが続いています。毎月勤労統計・8月速報値の「所定内給与」が前年同月比+3.0%と31年10ヵ月ぶりの高い伸び率になりました。 こうした賃上げの動きが景気ウォッチャーにも実感されているとみられ、9月の「賃上げ」関連現状判断DIは56.3、先行き判断DIは61.7とどちらも50超になりました。冬のボーナスへの期待もあり、9月「ボーナス」関連先行き判断DIは70.8と、7月57.1、8月68.8に続き70台まで上昇しました。 毎月勤労統計の6月・7月実質賃金がボーナス効果で前年比プラスになったことが影響したのか、8月まで景気判断の分岐点50を下回っていた「実質賃金」関連判断DIは9月に改善しました。現状判断DIは50.0になり、先行き判断DIは60.7と50超に転じました。こうした賃金関連の判断DIは明るい兆しは先々の個人消費増加につながるものと期待されます。 最低賃金上昇分をすべて価格転嫁することは難しい ただし、9月の「最低賃金」関連DIは現状判断DI35.0、先行き判断DI46.3と50割れとなりました。最低賃金改定で収入が大きく増え消費が活性化するという家計のプラス要因と、最低賃金上昇分をすべて価格転嫁することは難しいという企業のマイナス要因のせめぎあいで、後者が強いようです。