明るい兆しが見えた9月「賃金」関連判断DI…冬のボーナスへ高まる期待【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
南海トラフ地震臨時情報の影響薄らぐ
内閣府が、景気ウォッチャーの見方としてまとめた基調判断で、6月に「また、令和6年能登半島地震の影響もみられる」が削除され、7月までの「地震or震災」関連判断DIからみても、能登半島地震の景気への影響は小さくなっていました。しかし、8月8日に気象庁が、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表したことなどで、7月で8名だった現状判断のコメント数は8月に78名に増加したあと、9月では25名に減少しました。
自動車メーカーの型式不正問題のマイナス影響はなくなった模様
トヨタ自動車は、認証不正問題で6月から3ヵ月間、「ヤリスクロス」「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」の3つの車種を生産停止にしていました。当初は9月2日の生産再開を予定していましたが、台風10号の接近によって部品の調達が遅れたため、4日夕方から生産が再開されました。 9月で「不正」というワードを使ったコメントは、現状判断、先行き判断とも、1名ずつでした。9月の関連判断DIは、現状75.0、先行き50.0になりました。自動車型式不正問題の景気へのマイナスの影響は、なくなったといえる状況です。
9月「価格or物価」関連現状判断DI…最近の低水準〈6月〉に比べると改善
6月「価格or物価」関連現状判断DIは40.6で23年1月の35.1以来の悪い水準になり、コメントした景気ウォッチャーは247名と、こちらも23年1月の250名以来の水準になりました。 しかし、ドル円レートが円高方向に戻り、原油価格がWTI月中平均でみて、7月約80ドル/バレル、8月約75ドル/バレル、9月約70ドル/バレルと落ち着いてきたこと(10月に入ると中東情勢緊迫化で上昇したが)、9月中旬の円ベースの入着原油価格が前年比マイナスに転じるなどの環境変化もあり、9月「価格or物価」関連現状判断DIは50を下回っているものの44.1まで改善し、コメント数は185名になりました。
「新型コロナウイルス」を景気判断の材料としてみる人の数は過去最低に
第11波で感染者数が増加していたことへの懸念を背景に、7月では「新型コロナウイルス」関連先行き判断で54名とコメント数が増加し、先行き判断DIは48.6と22年11月の48.6以来の50割れになりました。 その後、感染者数が落ち着いてきたことを背景に、「新型コロナウイルス」関連先行き判断DIは8月53.8、9月59.4と2ヵ月連続50超になりました。コロナ禍が始まったばかりの2020年2月・3月には先行き判断で1,000名を超えるウォッチャーがコメントしていましたが、9月は16名と過去最低水準を更新しました。