日米の金融政策を先読み 利上げは12月?それとも1月? 利上げを懸念する中小企業 金利負担が賃上げの妨げに【Bizスクエア】
企業の間で取引されるモノの価格水準を示す11月の「企業物価指数」は、前年同月比で3.7%上昇と、3か月続けて過去最高を更新した。 ――卸売物価のレベルが、底を打って上がってきている。これが消費者物価に波及していくから、物価が上昇し、利上げの材料の一つになるのではないか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 米の値上がりや、円安がまた進んでいるので、輸入物価が高騰するコストプッシュだ。企業から見ると利益が下押しされやすいという状況。 ■日米の金融政策を先読み 来週の決定会合の判断は ――12月18日、19日に2024年最後の金融政策決定会合が開かれる。そこでの利上げは大方の予想は「見送りだろう」となりつつある。景気が強くないから、利上げはしなくてもよいという考えか? 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 内需が弱く、経済は良くない。常識的に考えると、金融政策は現状維持がいい。しかし、今の消費の弱さ、中小企業の苦しさは輸入物価から来ている。異常な円安を修正しない限り、なかなか状況が改善しない。日銀もこの輸入物価は望ましくない。好循環のもとでインフレを起こしたいのであれば、「超円安」対策としては、利上げが適切。12月は利上げをすべきだと思う。 ドル円相場は1ドル=160円を過ぎるところまでいき、日銀が利上げをして円高に戻した。それがまた150円台に戻ってきて、また日銀が利上げをやらないということで、急速に円安が進んでいる。 ――金利を上げることは、企業にとってコスト負担になるが、政策のプライオリティからいうと、円安を抑えることが優先課題であるべきか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 何を優先しているのか、日本銀行のコミュニケーションがわかりにくくなっている。経済が弱くて、停滞している背景が、超円安で海外からものすごく高いモノを買わなくてはいけないという国富の流出が起きている。その理由の一つが、日銀の金融政策であれば、必要に応じて、行き過ぎた円安をやめるための対策を取るという発信をした方がいい。そのためのチャンスが12月であり、1月20日のトランプ氏の大統領就任後の方が、もっと政策の不確実性が高まるのに、なぜ今チャンスを取らないのかと思う。