日米の金融政策を先読み 利上げは12月?それとも1月? 利上げを懸念する中小企業 金利負担が賃上げの妨げに【Bizスクエア】
円安の背景にあるのが、実質消費の弱さ。「実質消費支出」のグラフをみると、ずっとマイナスが続いている。牛肉や豚肉もマイナスとなり、鶏肉しか食べられない状況になっている。 ――実質賃金を見ても、少しずつプラスに向けて動いているが、まだプラスの領域には出ていない。名目賃金を上げると同時に、物価、コストプッシュを抑えるという意味では、円安を抑えることは有効か。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: ものすごくモノが高くなったのは、輸入物価が高く、購買力が停滞しているから。そこに焦点を当てて「第二の力」をもたらしたいのであれば、望ましくない円安を、日銀ができる範囲で是正することが最優先。日銀はそれを優先して利上げをしてきたと思う。 ――日銀の説明が数か月おきに変わってきている気がする。2023年の今頃は、好循環が起きるということ、つまり「第二の力」が出なければ良いとは言えないし、利上げをしないという言い方をしていた。2024年の利上げ局面に入ると、円安が良くないとか、実質金利が低いから、調整していくという議論に変わって、7月に追加利上げをやったが、今度はそちらの鳴りを潜めている。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: たくさんの目標を同時にやろうとするから、わかりにくくなる。「景気の低迷」だけを見れば、確かに現状維持だが、超円安が起きているので、それを是正することになったら利上げ。しかし利上げをしたら、株価が下がるので、市場の方でいろんな不安が起きる。波風を立たせないでやろうとして、全て満たそうとしてもその甲斐はない。優先順位をはっきりして政策をやっていくべきだと思う。 ――株価が前回急落したことや、政治との摩擦を恐れているではないかという話があったが、何をそんな日銀は怖がっているのか、何が足りないと思っているのか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 株価の下落に対して、みんなが大きく騒ぐこともある。しかし何を優先するかというと超円安。だから物価を通して補助金で支援するよりも、そのもとにある超円安をなぜ多くの政治家たちが見ないのかと思う。