日米の金融政策を先読み 利上げは12月?それとも1月? 利上げを懸念する中小企業 金利負担が賃上げの妨げに【Bizスクエア】
――小さい凹凸はあるが、基本的には高い水準、景況感の良い状態がずっと続いているということか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: どちらも先行きの見通しは横ばいだと思う。実際に調査の中で国内の需給についてどう考えるか、海外の需給についてどう判断するかとみると、どちらも低水準で悪いので、需要が強くなって景気が拡大しているから、景況感が高いということではないと思う。 ――もう一つ注目されていたのが人手不足感。雇用人員の「過剰」から「不足」を引いた「雇用人員判断指数」を見ても、人手不足感がものすごく深い。賃上げが起きる素地はあると考えてよいか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 経済が良いから人手不足というのではなく、物理的に働く人がいなくなっている。その証左として、生産設備の過剰感を聞くと、不足感もなく、過剰感もない。要するに景気が良くない。景気が良い・景況感が高いから人手不足感があるのではない。企業から見ればコストプッシュ。人もいないし、高い賃金を払わないと来てもらえないという意味での人手不足。 価格の上昇から下落を引いて算出した「販売価格判断指数」は高水準を維持している。原材料価格や人件費の上昇分を価格に転嫁する姿勢が続いていることが示された。 ――「販売価格判断指数」が高い状態が続いているということは、価格転嫁が進み、物価に対しては強気に見てよいか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: そうでもない。「仕入価格判断指数」というものがあり、そちらは遥かに高い。十分な価格転嫁ができない中で、ゆっくり価格転嫁を進めている。仕入価格はもっと高い。順調に価格転嫁が進んでるということではない。 ――いずれも、景気がいい数値の代表として紹介したつもりだったが、数値が示しているほど良くはないということか。 慶應義塾大学 総合政策学部教授 白井さゆり氏: 「やや横ばいを出た感」と判断できる。