肥満が交通事故の原因になる!? 居眠り運転や突然死リスクの裏にある病気
肥満の人に多いといわれる「睡眠時無呼吸症候群」(Sleep Apnea Syndrome:SAS)について、呼吸器内科医の池田雄次先生(ふらットクリニック稲毛 院長)に詳しく解説してもらいました。 【イラスト解説】ほかにもある「肥満」のリスク 『高血圧』になりやすいワケ 睡眠時無呼吸症候群は、熟睡感が得られず目覚めが悪くなるだけでなく、居眠り運転による交通事故や突然死とも関連していると言われている疾患です。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気? 内科医が徹底解説
編集部:睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか? 池田先生: 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に一時的に呼吸が止まるか、呼吸が浅くなってしまう疾患です。 編集部:睡眠時の無呼吸のほかにはどんな症状が出ますか?** 池田先生: 直接的に見られる主な症状としては、睡眠中に何度も起きる、いびき、寝汗、起床時の頭痛、昼間の眠気や倦怠感などがあります。なかでも、いびきは睡眠時無呼吸症候群の特徴と言われています。 編集部:仕事や日常生活に影響がありそうですね。 池田先生: 例えば昼間の眠気や倦怠感は、居眠り運転による交通事故や作業中のミスによる事故などに発展することも考えられます。 さらに、睡眠中に呼吸が停止したり、浅くなったりすると、体が十分に酸素を得られないため、脳血管障害や心筋梗塞など、重篤な病気の発症リスクを高めるというデータもあるのです。また、突然死との関連も報告されています。
睡眠時無呼吸症候群になりやすい人っている? 放っておくとどうなるの?
編集部:睡眠時無呼吸症候群になる人は多いのですか? 池田先生: かなり多いと言われています。しかし、寝ている間の無呼吸なので、自分ではなかなか気付くことができず、診断されていないまま放置している患者さんがほとんどです。 中等度以上の睡眠時無呼吸症候群だけでも日本に900万人以上(※)というデータもあるくらいで、決して珍しいものではありません。 ※睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疫学 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/6/109_1059/_pdf 編集部:どんな人が睡眠時無呼吸症候群になりやすいのですか? 池田先生: 最も注意が必要なのは肥満の人です。睡眠時無呼吸症候群は、主に仰向けに寝たときに舌の根元が気道を塞ぐことで呼吸が止まったり、浅くなったりしてしまうのですが、肥満だと首の周りにも脂肪がつきやすいので、喉が狭くなりやすい傾向にあるのです。 また、肥満でなくても顎が小さい人や首が細い・喉が狭い人もそのような状態になりやすいですね。 編集部:睡眠時無呼吸症候群を放置しているとどうなるのですか? 池田先生: 先述のように、交通事故や作業中の事故、脳血管疾患や心疾患などのリスクが出てきます。睡眠時無呼吸症候群であるにもかかわらず、治療をしないで放置しておくとどうなるかという海外の有名な研究があります。 その研究では、中等度以上の睡眠時無呼吸症候群で無治療の人と治療した人たちの生存率を比較したところ、何も治療しなかった人たちは8年後に63%しか生存していませんでした(※)。やはり、早期に発見し、早期に治療することがとても大事なのです。 ※National Library of Medicine https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3289839/