キケンな組体操を強制する学校に喝!元学長のツッコミがぐうの音も出ない正論だった
● 組み体操を「やめられない」 非科学的な社会 欧米において組み体操は、体が柔らかく、運動神経抜群のプロの集団であるサーカスの芸のひとつです。成長期の子どもに強制するものではありません。「チームワークが養成できる」とか「伝統だ」と組み体操を肯定する教育者も一部いますが、組み体操には、科学的にも、医学的にも、子どもにやらせていいという合理的な根拠は一切認められません。 それなのに「やめられない」としたら、なんという非科学的な社会でしょう。僕に小中学生の子どもがいて学校が組み体操を強制するなら、僕は迷わず転校させると思います。一事が万事で、そのような学校でまともな教育が受けられるとはとうてい思えないからです。 また一部には、「子どものうちに英語を教えると考える力がつかない」という意見を述べる人もいますが、これも根拠なき精神論の一種です。そう思うのなら、エビデンスを明示すべきです。 最新の脳科学では、母国語をつかさどる部位と第2言語をつかさどる部位は違っているという意見もあります。国語・算数・理科・社会の主要4科目に英語を加えても、考える力の妨げにはならないことは常識でもわかる気がします。
これからは教育現場から根拠なき精神論や根性論を一掃して、脳のしくみや人間心理など、サイエンス(科学)の視点に基づいた教育を行っていかねばなりません。 たとえば、アメリカの研究などでは、できるだけ幼児期に教育投資をしたほうが学習効果が高くなることが明らかになっています。 アメリカの労働経済学者で、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授らは、「幼少期に適切な教育を受けることによって養われた学習意欲が、その後の人生にも大きく影響する」という研究成果を発表しています。 大人になってからの経済状態や生活の質を高める上で、就学前教育が有効であることが実証されているのです。 とくに、幼児期に適切な教育を受けた子どもは、物事をやり抜く力、集中力、コミュニケーション力といった非認知能力が向上・持続することがわかっています。教育投資効果は幼児期が一番高いのです。そうであれば、日本の課題は明らかで、7人に1人といわれている子どもの貧困問題にまずは集中的に取り組むべきです。