未就学児を育てる社員の半数が管理職。難病と闘う代表が導き出した働き方と「コミュニケーション」の大切さ
仕事をボイコットされた経験
ーーなぜ長井さんはそこまでコミュニケーションにこだわるのでしょうか。 リクルートで50人ほどの派遣社員のマネジメントをしていた時、仕事をボイコットされた経験があります。当時は結果を出すことを最優先し、個々のメンバーとコミュニケーションを取って関係構築することを疎かにしていたためです。 派遣社員にマニュアルを示した上で、「とにかくこれをやってください」と言い続けていました。その結果、みんなが出社しなくなってしまった。派遣社員のモチベーションを管理することなく、一方的に仕事をさせてしまった結果です。 上司に「お詫びしろ」と叱られてしまい、一人一人に歩み寄ったり、声をかけたりしたら徐々に状況は変わっていきました。派遣社員からは「これまでは見てもくれなかった」や「やっと大事にしてもらえた」と言われました。 コミュニケーションを通して良いチームを作らなければ、持続可能な成果は出ません。仕事の意義や楽しさを語らず、人の心がついてこないような会社では、育児や介護をしている社員はなおさら働けないのではないでしょうか。 ーーボイコットの経験を聞くと、コミュニケーションの重要性が非常によくわかりました。 このほか、当社には業務の効率化のため、苦手なことは得意な人にどんどん任せる文化もあります。もちろん、まずは選り好みをせず何でも挑戦してほしいですが、どうしても難しいことは早く周囲に相談し、得意な人に頼るよう勧めています。 属人的な頑張りでその場を乗り切るより、仕事を適切に切り分け、全体が上手く回る仕組みを作る方が、ずっと再現性の高い本質的な解決策だからです。これは社内だけでなく、私たちの事業にも通じます。 創業以来、約1500人いる社外のフリーランスや副業人材に業務を委託するビジネスモデルでやってきました。一人で抱えず、人に託すことは事業の根幹でもあります。こうした考え方も多様な社員・多様な働き方を作る土壌になっていると思います。