「キスしたからってその先もOKとは限らない」性と人間関係のこと…“まるっと”学ぶ【包括的性教育】
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生殖や性交だけでなく、人間関係を含む幅広い内容を学ぶ「包括的性教育」。国際的な基準をもとに、日本の文化や学習指導要領などに合わせた教材で学べる『まなブック』が公開されています。作成メンバーの1人、順天堂大学の西岡笑子教授にその必要性をききます。 *Podcastできく*【包括的性教育】世界基準の教育プログラム『まなブック』作成者とトーク 「人の数だけ性がある」|TalkGender
◾️互いを尊重してより良い人間関係を目指す「包括的性教育」
報道局ジェンダー班 庭野めぐみ解説委員: 包括的性教育とはどういうものですか? 順天堂大学保健看護学部 西岡笑子教授: 包括的性教育の目的は、学習者のウェルビーイングの実現にあります。ウェルビーイングとは単に病気でないだけではなく、肉体的や精神的、社会的に全てが満たされた状態のことを言います。 包括的性教育は人権をベースとした教育で、お互いのことを尊重し、より良い人間関係を築くことを目指します。生殖や性交だけでなく、性的同意や性の多様性、ジェンダー平等、コミュニケーションなど、人間関係を含む幅広い内容を体系的に学びます。 庭野:人としてお互いに尊重し合うことを、包括的にやっていくのですね。国際的にも進んているということですが? 西岡:『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』というものがございます。ユネスコが2009年に出版し、改訂版は2018年に出版されています。欧米先進諸国だけでなく、東アジアでもこちらを参照して性教育が行われています。幼少期から発達段階に合わせて、知識を習得するだけではなくて、態度や価値観、関係性のあり方なども含めて、継続的に学習をしていくというものです。 『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』には、8つのキーコンセプトがあり、 1.関係性 2.価値、権利、文化、セクシュアリティ 3.ジェンダーの理解 4.暴力と安全の確保 5.健康と幸福のためのスキル 6.人間のからだと発達 7.セクシュアリティと性的行動 8.性と生殖に関する健康 という要素から成り立っています。
◾️『まなブック』で5歳からはじめる包括的性教育
庭野:西岡先生は、厚生労働省の研究班(研究代表者は荒田尚子氏)で、この包括的性教育を国際的なガイダンスに基づいて学べるテキストブック『まるっと からだとこころの科学 まなブック』を作られました。 “まるっと”は包括的という意味ですか? 西岡:包括的という言葉が少し難しいので、わかりやすく表現するためにはどうすべき考え、 “まるっと”という表現がいいと思いました。 庭野:冊子は年齢別でレベルが分かれていますが、それぞれのレベルで目標はありますか? 西岡:レベル1(5~8歳)では自分を大切にすること、レベル2(8~12歳)は第二次性徴でからだが変化する頃ということで、1人1人が違いを認め合うということ。レベル3(12歳~15歳)で選択肢を知って、レベル4(15~18歳)で自分で決めるということです。