希望格差社会続編、バブル兄弟、酒を主食とする人々…1月の気になるノンフィクション
『バブル兄弟 ‶五輪を喰った兄〟高橋治之と〝長銀を潰した弟〟高橋治則』 西﨑 伸彦(著)
週刊文春で連載され大きな話題となっていた連載がいよいよ単行本で登場します。東京オリンピックでの収賄容疑で様々な場所で名前が挙がった「高橋治之」。一方で、弟は長銀を潰した男と言われています。バブル紳士と言われた彼らは裕福な家に産まれ、誰もがうらやむエリートコースを歩みました。しかし二人とも塀の向こうへ… 裁判中の治之へのインタビューも実施されており、その肉声反論も!昭和・バブルを読み解く1冊。
『アーベド・サラーマの人生のある一日 ――パレスチナの物語』 ネイサン・スロール(著)、宇丹 貴代実(翻訳)
英語版刊行後に高い評価を受けていた作品が邦訳されました。エルサレム在住のユダヤ系米国人ジャーナリストが描いた2012年のバス事故の一部始終とは。 このバス事故では、パレスチナ人の子ども6人と教師1人が死亡しています。子どもの父は息子を探して奔走しますが、それを阻んだのは多くの「壁」でした。 検問、救助活動の無関心さ。占領地域に住むパレスチナ人がいかに制限を受けているのか…イスラエルをめぐる動きはこの事件の日から良くはなっておらず、さらなる犠牲を積み上げています。各紙絶賛の1冊。
『脂肪と人類:渇望と嫌悪の歴史』 イェンヌ・ダムベリ(著)、久山 葉子(翻訳)
この本が出る頃には、美味しいものにはすべて脂肪があるのだから…と言い訳を言いながら年末年始の暴飲暴食を繰り返し、それに後悔したくなった時期に入っているのではないかと思います。 ダイエットの敵かもしれないけれど、脂肪は命そのもの。私たちの祖先が追い求めてきた脂肪はいつのまにか嫌悪されるものにもなりました。 そんな脂肪と人類の関係を科学的、歴史的に解き明かしていきます。 2025年のスタートも、面白そうなノンフィクションが出揃いそうです。気候変動の影響で、毎年「類を見ない」天候が続き、起こる事件も複雑に。そんな世界を読み解き予測をするためにもノンフィクションで今起きていることを知りましょう。来年もまた良い本との出会いがありますように! 筆者:古幡 瑞穂(ふるはた・みずほ)日販→出版社勤務。これまで、ながらくMDの仕事に携わっており、各種マーケットデータを利用した販売戦略の立案や売場作り提案を行ってきた。本を読むのと、「本が売れている」という話を聞くのが同じくらい好き。本屋大賞の立ち上げにも関わり、現在は本屋大賞実行委員会理事
古幡 瑞穂