希望格差社会続編、バブル兄弟、酒を主食とする人々…1月の気になるノンフィクション
先月ここで紹介した『対馬の海に沈む』はノンフィクション愛好家の間で大きな話題になっています。これを読んで関連してこれを読んだ、これを思い出した…という人が多いのが印象的でした。金融不祥事が報じられている中だからこそ読んでおくべき作品かもしれません。 1月発売のノンフィクションにも多くの気になる作品が見つかりました。いくつか紹介していきます。 まずは大物二人の新作『平等について、いま話したいこと』です。ピケティとサンデルという二人が「平等」について徹底的に議論するというのだから読まずにはいられません。
さらに日本社会については、ベストセラーとなった『希望格差社会』のその後を描く『希望格差社会、それから』も登場。こちらも要チェックです。
『酒を主食とする人々: エチオピアの科学的秘境を旅する』 高野秀行(著)
昨年『イラク水滸伝』を大ブレイクさせた高野秀行さんが続いて挑むのは、エチオピアの民族。科学的秘境という見たことのない言葉が気になります。 今回の舞台はエチオピア、なんとここにはデラシャ人という「酒を主食にする」人たちが住んでいるのだそうです。主食なので、大人はもちろんのこと、子どもも赤ちゃんも「酒」を食すそう。これだけ休肝日を設けろと言われている我々の常識はどこにいってしまうのか!?
『Why We Die 老化と不死の謎に迫る 』 ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン(著)、土方奈美(翻訳)
ヴェンカトラマン・ラマクシュリナンはノーベル化学賞の受賞者。世界的にも “寿命を延ばすための医療研究”熱が高まっていますが、そもそも「どうやって寿命を延ばすのか?」という点について語ってくれています。人類史上初、最大寿命を延ばせる可能性が高まっているといわれている今、この分野の研究は何をもたらすのでしょう? どうやって生活をすればいいのか、今やっているこの日課に意味があるのか?一年の抱負を考える時期に必読!
『潤日(ルンリィー):日本へ大脱出する中国人富裕層を追う』 舛友 雄大(著)
教育業界では、最近中国人が日本の“お受験”戦争に参入してきているというのが大きな話題になっています。あまりに厳しい進学率を避け日本で教育を選ぶ中国人富裕層たち。日本へ脱出してくる中国人はそれだけではありません、高騰しているタワマンをキャッシュで買い、観光地を開発。より良い暮らしを求めて中国を脱出する人たち、彼らはすでに日本社会に大きなインパクトを与える存在になりつつある、と著者は言います。彼らは誰なのか?これからどんな未来が予想されるのか?