35歳以上の社員の「7割」が「静かな退職」を選択していると聞きました。「昇進チャンス」を逃してしまうのに、なぜそのような行動を取るのでしょうか…?
海外だけでなく日本でも広がる「静かな退職」は、35歳以上の社員で約7割を占めています。「静かな退職」に対し、昇給チャンスを自ら逃していると捉える方もいるでしょう。しかし、日本企業独特の体質が「静かな退職」を選ばせてしまっている場合もあるようです。 今回は、35歳以上の約7割が選ぶ「静かな退職」と理由について解説します。 ▼早めに転職が決まったら「受給できる手当」を確認しよう!
日本で広がる静かな退職
アメリカで広がった「静かな退職」は、コロナ禍を背景に、日本にも大きく影響を及ぼしました。経済が混乱するなか、将来に不安を持つ人が増えたためです。 多様化した現代では、働くことへの考え方も多様化しつつあります。人生でもっとも重要なものが仕事であると考えてがむしゃらに働くハッスルカルチャーから、静かな退職へと時代が移り変わってきています。 そこで、静かな退職とはどのような状態を指すのかを考えてみましょう。 ■35歳以上が選ぶ静かな退職とは? 静かな退職とは、実際に職場を退職することではありません。「退職の意志を持った社員」のように働くことを指す言葉です。つまり、最低限の仕事しかしないと割り切った働き方のことをいうのです。 Great Place To Work(R) Institute Japanの調査では、35歳以上の69.2%が静かな退職を実践していることが分かりました。 表1
出典:Great Place To Work(R) Institute Japan「静かな退職に関する調査2024年」より筆者作成 静かな退職を実施している人のうち、約4割の人が「勤め先の環境が変化しても働き方は変わらない」と回答しています。 ■世代を問わず広がるワーク・ライフ・インテグレーション ワーク・ライフ・インテグレーションとは、ワーク・ライフ・バランスが変化したものです。 コロナ禍において、ワーク・ライフ・バランスの課題が浮き彫りとなりました。個人の幸福感を満たすため、仕事と生活のつり合いを取ろうとするワーク・ライフ・バランスでは、自助努力に限りがあります。 そこで、仕事とプライベートを統合させて相乗効果を生み出す、ワーク・ライフ・インテグレーションが広がりました。個人の努力では実現できないバランスを、可能な限り個人のニーズに合わせ、企業や政府が補填する支援方法です。 幸福感や充実感を満たす働き方が現代では重視されつつあります。仕事と生活の相乗効果を考える人が多くなったことも、静かな退職が広がっている理由と考えられます。