「腹部の痛みが治らない」その後、病が判明し…余命3ヶ月から自身の病と向き合い、闘い続ける原動力に迫る
抗がん剤の副作用との戦い
1度目の開腹手術を終えた2ヶ月後、残念ながら肝臓に再発がみつかり高須さんは抗がん剤治療を始めます。 主治医からも、セカンドオピニオンの医師からも厳しい見解を告げられて希望が持てない状況の中、抗がん剤治療の副作用が高須さんを襲います。 抗がん剤に対してのアレルギー反応で全身に赤い発疹が出たり、40度近い高熱が続いたりしました。手足症候群という症状により、足の裏の皮膚が硬くなり、歩くだけで痛みを伴ったといいます。 医師には強い副作用が出たら自分の意思で休薬してくださいと言われていましたが、それでも「治療をストップしたらがんが増悪してしまうのではないか」という不安から、高須さんは抗がん剤の服用を続けました。しかしその後、医師に副作用を見せるとすぐに休薬になったのでした。
高須さんを支えた家族の存在
高須さんは、主治医から「状況が厳しい」と伝えられ、治療の選択肢を増やすために複数の医師に診察してもらいました。 受診の度に高須さんに付き添った両親。どの医師の見解も明るくはない現実で、息子のことを思うとあふれる涙を母は隠していたようですが、息子の高須さんにはちゃんとわかっていました。 自分が原因で家族を悲しませていると感じ、申し訳ない気持ちに心を痛めていたと過去をふりかえります。
MMAファイターへの思い
ステージ4のがんであることを宣告され、自分の命に期限があると感じた高須さん。生涯の中で最後の一戦を戦うことで何かを残したいという思いから「もう一度だけリングに上がりたい」と強く望みます。 しかし治療を続ける中で、支えてくれる家族、応援してくれる友人、道場の仲間たちの存在を強く感じました。 「彼らのためにも、しっかり生きてリングに復帰しよう」と思いが変化したといいます。 支えてくれるすべての人に対する感謝の表れにより、死を意識した「最後の一戦」より「生きてリングに復帰する」ことを望むようになったのです。 抗がん剤治療を続ける中で、手足症候群による足の痛みとの闘いが一番大変だったといいます。 それでも足に何重にもテーピングを巻いてトレーニングを続けた高須さん。復帰戦では、みごと試合に勝利。その後も5連勝したのです。長い闘病生活を経てリングに戻ることができたこの瞬間は言葉に表せないほどの喜びを感じ、しっかりと高須さんの記憶に刻まれました。 試合を見ていた家族、友人、道場の仲間たちもみんな涙を流して喜んでいたといいます。 実は、闘病後に余命3ヶ月であったことを告げられた高須さん。そんな高須さんのつらい闘病生活やトレーニングの様子を知っているからこそ、支えた方たちにとっても、涙と思いが溢れた瞬間だったのでしょう。