浦和の記録づくめのシーズンを牽引。WEリーグの“赤い稲妻”清家貴子の飛躍の源「スピードに技術を上乗せできた」
シーズン最多勝ち点、最多勝利、最多得点、最多連勝記録など、3年目のWEリーグで数々の記録を打ち立てた三菱重工浦和レッズレディース。その中でも話題になったのが、清家貴子の“連続ゴール記録”だった。2015年にJ3で更新された記録を塗り替え、男子も含めた国内プロリーグ初の10試合連続ゴールを達成。最終的にゴール数は「20」まで伸びて、得点ランクは2位以下に大きな差をつけて得点女王に輝いた。シュート数、枠内シュート率、キーパス、ゴール期待値でリーグトップの数値を叩き出し、アシストランキングでも2位に浮上。その勢いを代表にも還元している。その原動力と、ターニングポイントとは?「自分のアイデンティティ」と語るゴールへの想い、貪欲に求める成長の伸びしろについて話を聞いた。 (インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真提供=WEリーグ)
連続ゴール記録更新。飛躍の要因は?
――今季、浦和は22試合55得点でWEリーグ最多得点を記録し、圧倒的な攻撃力が光りました。清家選手は20ゴールで公式戦では全12チームから得点しましたが、相手に研究される中でもゴールを決め続けられた理由はどんなところにあったと思いますか? 清家:守備で後ろの選手が体を張って守ってパスをつないでくれて、いいパスがもらえるのは大きいですし、今シーズンは昨年以上に、スピードに乗った中でミスなくプレーできるようになりました。武器であるスピードに技術を上乗せできたことが、一つの要因だと思います。 ――キャリアハイの12ゴールを決めた昨シーズンは、得点力アップの要因について「安藤梢先輩のアドバイスで、この角度だったらここに打てば入るというポイントを見つけて自信がついた」と話していました。今シーズン、さらに8ゴールを更新できたのは、継続の成果もあるのですか? 清家:そうですね。今シーズンは梢さんがケガでシーズン中に離脱してしまいましたが、教わった練習をずっと続けていましたし、そのアドバイスをより自分らしいプレーに落とし込めたのが今年だったのかなと思います。 ――後期はゴールに近い位置でプレーする機会も増えましたが、ゴールへの思いに変化はありましたか? 清家:前期までは去年とあまり変わらず、「チームのために戦っている結果がゴールとしてついてきている」という感覚でした。梢さんと(猶本)光さんと(菅澤)優衣香さんが自分よりも前にいて、正直、得点に関しては3人に頼っていた部分があって、「いいパスを出せば決めてくれる」という気持ちがあったんです。ただ、今シーズンの後期は菅澤選手は(ケガの影響で)スタートで出る機会が少なくなって、梢さんと光さんは(膝の前十字靭帯の)ケガで長期離脱になってしまって。「自分が点を取らなきゃチームを勝たせることができない」と感じて、ポジション取りを変えたこともありますし、「自分が取る番だ」という意識に変わりました。 ――ポジション取りはどんなふうに変えたのですか? 清家:もともと、敵を置き去りにしてクロスを上げるプレーが自分の強みだと思っていたのですが、後期からはアシストだけじゃ勝てないと思って、今までよりも中央寄りの高めにポジションを取るようにしました。ワントップの島田芽依選手と近いポジションで意識的にプレーするようにしていたので、2トップのような形に見えたと思います。後期はフォワードっぽいポジションでプレーできたおかげで、シュート数も増えました。