浦和の記録づくめのシーズンを牽引。WEリーグの“赤い稲妻”清家貴子の飛躍の源「スピードに技術を上乗せできた」
個人3冠を受賞。背中を押した「魂が震えるような応援」
――6月7日のWEリーグアウォーズでMVPを受賞しました。率直な思いを教えてください。 清家:光栄ですし、とても嬉しかったです。クラブスタッフや仲間たち、ファン・サポーターのみなさん、家族や友人など、たくさんの方々のおかげで頂けた賞だと思います。来シーズンは海外のチームでプレーしますが、安藤梢選手が海外に行く前のシーズン(2009年)に得点王とMVPを受賞したように、自分もチームに優勝をもたらしてからチームを去りたいと思っていたので、それが叶えられて嬉しいですし、叶えさせてくれた仲間に感謝しています。 ――今シーズン、WEリーグ全体で「ここがレベルアップした」と思うポイントを一つ挙げるなら、どんなところですか? 清家:観客動員数ですね。レッズは常に人が入っている方だと思いますが、広島やセレッソは5000人、6000人入った試合もあって、本当にすごいなと。やっぱりサッカーの面白さは見てもらわないことには伝わらないと思うので、これから、いろんなチームが同じように集客できるようになればいいなと思います ――清家選手は来シーズンは海外クラブへの移籍が決まっていますが、改めて、浦和のサポーターへの思いを聞かせてください。 清家:スタジアムが揺れて、魂が震えるような応援でした。「応援されている」というよりも、「共に戦っている」という感じがしていましたし、その中で戦うことができたのは選手としての誇りです。浦和レッズのファン・サポーターは間違いなく日本一だと自分は思っていますし、その中でプレーできたことは本当に幸せです。海外での挑戦に温かく送り出してくれたので、その期待に応えたいという思いが強いですし、浦和レッズは自分のホームで、家族だと思っています。
[PROFILE] 清家貴子(せいけ・きこ) 1996年8月8日生まれ、東京都出身。三菱重工浦和レッズレディースのジュニアユース、ユースを経て、2014年にトップチームに昇格。1年目で8ゴール、2年目も9ゴールを決めて、なでしこリーグ1部新人賞に輝いた。抜群の動き出しとスピード、シュートセンスを活かし、サイドハーフ、サイドバック、ウィングバック、FWなどでプレー。今シーズン、WEリーグで日本プロサッカーの連続ゴール記録を塗り替える10試合連続ゴールを記録、20得点を挙げて得点王に輝いた。また、ベストイレブン、MVPと合わせて個人3冠を受賞。昨夏の女子ワールドカップでは3試合に出場。5月末に海外移籍が発表された。今夏のパリ五輪メンバーにも選出。大舞台に強いメンタルの持ち主で、日本の得点源として活躍が期待される。
インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]