「チャリティーなのに金儲け」「ギャラや広告費を返上しろ」“24時間テレビ批判”が、いかにも的外れである理由
ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさんも、Xに「過去も今回もギャラはいっさいもらいません」と投稿している。 一方で、過去の日本テレビ側の発言や、メディアの報道を見ても、すべての出演者が無償というわけではないのも事実のようだ。 この点について、「チャリティー番組だから無償でやるべきだ」「海外のチャリティー活動は大御所でもノーギャラだ」という批判がある。 欧米に関して言えば、大御所の芸能人ともなれば、莫大な資産を持っている。それを世の中に還元するべきだという社会通念もあるし、そうすることで人びとから賞賛を得ることもできる。
しかし日本においては、いくら社会貢献だといっても、すべての出演者に他の仕事を犠牲にして無償で出演してもらうことは、現実的ではないように思う。 「募金の一部が出演者のギャラに使われるのはおかしい」という批判もあるが、これも的外れな主張だ。 「24時間テレビ」のチャリティー事業は、公益社団法人である「24時間テレビチャリティー委員会」が設立してそこで行っている。決算報告書も公開されている。毎年、支払い報酬の費目に100万円程度計上されているが、これが出演者のギャラに当たるとは思えない。
出演者のギャラや番組制作費は、あくまで日本テレビが負担しているはずで、その原資は広告収入から充てられているはずだ。ただ、そうなると「チャリティーなのに広告収入を得ているのはいかがなものか?」という、また別の批判が出てくる。 特別番組を放映してはいるが、通常と同じビジネスモデル(広告収益を得る無料放送)で放送活動を行っており、それとチャリティー活動がセットになっている(ただし、チャリティー活動は社団法人を設立して切り分けている)のが、「24時間テレビ」だ。
テレビ放送を通じて、視聴者を啓発したり、募金を促進したりできるのが大きな強みであるが、放送活動の部分が、「チャリティーのあり方に反する」「商業主義に走っている」という批判も呼ぶ結果になっている。 昨今の批判の激化の背景には、多くの企業が社会貢献活動を行うようになり、「24時間テレビ」の商業主義的な側面が目に付くようになってきたという事情もありそうだ。 ■社会貢献には“持続可能性”が不可欠 最近、“サステイナビリティ(持続可能性)”という言葉をよく耳にするようになっているが、この考え方は社会貢献事業において非常に重要だ。