「妊娠の仕組みがわからない」――「不十分な性教育」に気づいた大学生たちの学び #性のギモン
「このゼミがなくてもいいような社会に」
学んでみて、いまどんなことを感じているのか。 「社会に、『女性は従順なほうがいい』『男性は強くなければ』などという傾向があると思います。すると、例えば性交渉においても日常生活で相手に不満を持ったときにも、女性は偏見を気にして意見を言えなくなってしまう。一方で男性も、自分は男だから強引なくらいでないと、と考えてしまう。それは生活や人生に大きく影響します。そのことを知るためにもセクシュアリティ教育を学ぶのはとても重要です」(2年・田中さん) 「人権や個人の尊厳などから学ぶところに意義があると思います。私たちは『普通こうなんだからこうしなさい』と選択を強制されたり、例えば男性は稼がないといけないというプレッシャーに悩まされたりする。そういう『普通』という概念を疑うためにも重要だなと感じます」(2年・平田さん) 「人は多様で、全部『そういうこともあるよね』というものだと実感できたのがとてもうれしくて。その実感があれば、他人のことも自分のことも大事にできるので、学べば学ぶほど面白いし、温かい気持ちになります」(1年・正久さん) このゼミは、野口さんの話にあったように「無知」を自覚したことから生まれている。 「私たちは、本当はこういうゼミがなくてもいいような社会になってほしい、とよく話しています。きちんと詳しいセクシュアリティ教育を義務教育でするような社会になったら、必要ないですから。そういう社会になるためにいま、このゼミが貢献できたらいいと思います」(2年・田中さん)