ロニー・クインタレッリ(No.23 MOTUL AUTECH Z)「淋しさというよりうれしさ。こんなすごい仲間とずっとやってきたんだと、うれしかった。」 | SUPER GT 2024 第5戦(最終戦) 鈴鹿サーキット【SUPER GTあの瞬間】
これからSUPER GTのレーシングドライバーではなくなるんですけども、ファン含め、大切な仲間たちがみんなまだ横にいるというか。必要なときにいてくれるという感じでした。多分あれがあったから、泣かなかったと思いますね。ニスモフェスティバルでのフィナーレのとき、僕の大切なチームメイトの3人がそばにいたから、僕は気持ちを切り替えて、いい気持ちになってフルパワーで最後のフィナーレまで(戦って)、僕のSUPER GTのキャリアを終えることができました。
ただ、ひとつだけ、感傷的なことがあったんです。想像しなかったことでした。レースが終わり、グランドフィナーレまで20~30分ぐらい時間があって、そのとき、うちの家族がチームピットに来たんですが、うちの息子が涙を流してて。『えっ!? なんで!?』と。 『あそこまでいいレースできたのに!?』って思ったんです。すごく驚いて、印象に残っています。うちの妻が言ってたんですが、(ラウンジでは)普通の(レースシーンの)映像と、23号車のオンボード(映像)がずっと見れていたそうで、(息子は)その車載の映像から、ずっと一瞬も目を離さず見ていたようです。ずっと最後の最後まで僕の走りを見ていたそうで。僕がいい走りを見せたから、“パパらしい”走りが見られたのに、もうこれからはこの走りが見られないな、って。多分、そこで感動して泣いたんじゃないかな。それが一番すごく……なんだろう、彼に対して、なんか悪いこと(申し訳ないこと)をしたかなという思いがあって。それが一番僕のなかで忘れられないシーンでした(苦笑)。
── 2002年に来日し、長くレースをしてきたわけですが、これから日本のモータースポーツ界でやってみたいことがあるのではないでしょうか?
クインタレッリ:SUPER GTにはドライバーとしてもう参戦しなくなるんですけども、この10何年間、ずっとSUPER GTを中心してやってきて、僕にとっては一番好きな選手権だし、世の中で一番素晴らしいシリーズと今でも思っているんです。だから、いきなり僕の姿がSUPER GTから全部一気に消えると、ずっと応援してくれたファンもそうですけども、僕も完全にファンに会えなくなるのは、あんまり良くないかなと思ってて。鈴鹿でもレースのあとに、いろんなファンに会ったんですけど、『来年も、まだ(SUPER GTの現場に)いますよね!?』みたいな、そういう言葉もファンからもらったので、ぜひ違う形でSUPER GTに貢献できればいいなと思います。どんな形になるかはわからないんですけどね。SUPER GTは、日本での人気はもちろんすごいんですが、僕が10何年間ずっと出ていたことによって、海外でもSUPER GTの知名度が(上がって)……。僕のおかげだけじゃないんですけどね(笑)。SUPER GTの存在感がどんどん広がってきたんで、SUPER GTには恩返しを含めて、なにかできたらいいなと思います。SUPER GTという、素晴らしい世界に残りたいですね。