そもそも「党首討論」とは? 過去の主なやり取りを振り返る 坂東太郎のよく分かる時事用語
◎過去の主な党首討論でのやり取り
初の党首討論は、前述の通り試行期間だった1999年11月10日に開かれました。小渕恵三首相(自民党総裁)に鳩山由紀夫民主党代表(質問時間26分)、日本共産党の不破哲三委員長(同9分)、社民党の土井たか子党首(同5分)が挑んだのです。
【初の党首討論=小渕首相×鳩山代表】
鳩山代表は冒頭「総理は朝、何を召し上がりましたか。私は温かいピザをおいしくいただきました。これは官僚の助けはいらない話ですから、答弁を」と切り出しました。小渕首相が海外メディアから「冷めたピザ」と揶揄(やゆ)されていたことや先述の政府委員制度を廃止したことを含めた挑発です。本場イギリスのQTで最初に「その日の予定」を聞く慣例を意識した面もあったでしょう。首相は「いつも通り日本食です。温かいピザを食べたとおっしゃいますが、アメリカの国務長官から以前『冷たいピザもまたおいしい』と言われたことがあります」と切り返しました。
【イラクの非戦闘地域=小泉首相×岡田代表、菅代表】
2004(平成16)年11月10日の党首討論は、小泉純一郎首相(自民党総裁)に岡田克也民主党代表が挑みました。当時はイラク特別措置法に基づき自衛隊を現地に派遣していましたが、特措法は戦闘地域での自衛隊の活動を認めていない点に関し、岡田代表が「イラク特措法における非戦闘地域の定義は」と迫ったのに対し、小泉首相は「特措法に関して法律上言うとなれば、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」と答え、一時騒然となります。 なおも「定義は……」と重ねる岡田代表に首相は「文書を持ってくればすぐ言える。でもここは党首討論だから。考え方を言っている」とかわしました。 特措法をめぐる議論は、民主党の菅直人代表の時にも党首討論で話題となりました。前年の2003年7月、菅代表が「今のイラクに非戦闘地域というのがあるんですか」と詰め寄ると、小泉首相は「どこが非戦闘地域でどこが戦闘地域かと、今この私に聞かれたって分かるわけないじゃないですか」と開き直ったような対応。菅代表が「まあ、すごい答弁ですね」と追い打ちをかけるも首相に「私は、率直にお答えしているんですよ、知らないものは知らないと」と切り返されて時間切れ。 詭弁とも放言とも批判されかねない小泉首相の答えは、ある意味で「自身の言葉で」「資料の棒読みではない」という党首討論ならではとも評せましょう。首相の答えを聞いた岡田氏は「まともに議論する気がなくなる」とあきれた表情を見せました。