日常生活で「スマホを持ち込んではいけない」3つの場所…このままでは「人生の損」
前編記事「スマホばかり見ていると思わぬ事態に…「大脳白質が劣化する」衝撃の研究結果」より続く。 【画像】「スマホで失明」危険度チェックリスト…注意したい「急性スマホ内斜視」とは
スマホを家に置き散歩に出てみよう
次に、スマホを持ち込まないエリアを決めてみよう。具体的には「三上」から。これは、北宋時代の学者、欧陽脩が「アイディアが生まれやすい場所」と定めた3つのエリアで、「馬上」「枕上」「厠上」の3つ。現代で言い換えると、移動中、寝室、トイレの3ヵ所だ。 「脳科学の世界では『デフォルトモードネットワーク』と呼ばれていますが、脳はぼーっとしている時間に情報を整理し、そこからアイディアを生んでいます。常にスマホを持っていると、脳が休まる時間がありません。意図的に脳を休ませるために、『三上』をデジタルフリーゾーンにしてみましょう」(森下氏) 三上のなかでも枕上、寝室にスマホを持ち込まないことで、生活の質はかなり改善する。おくむらメモリークリニック理事長の奥村歩氏はこう解説する。 「人間の脳は、昼間にはオレキシンという物質が出て覚醒し、夜になるとメラトニンが分泌されてリラックスして眠りにつきます。実は、SNSなどでよく見られる、過度に注意を引きつけ、不安にさせたり、興奮させたりする情報はオレキシンのレベルを上げてしまいます。その結果、入眠が妨げられ、最悪の場合は不眠症になってしまう」 三上でのデジタルデトックスに慣れてきたら、次は家にスマホを置いて外に出てみよう。ちょっとした散歩や買い物など、本来はスマホの必要がないシーンにはできるだけ持ち歩かない。そうするだけで、デジタルデトックスの効果がある。 「散歩や買い物などでのデジタルデトックスに慣れてきたら、『午前中は使わない』『夕方まで使わない』というふうに、少しずつデジタルデトックスの時間を長くしてみてください。 おすすめは、旅行先でのデジタルデトックスです。家族と一緒にスマホを宿に置いて、デジタルなしで旅をする。不便なことも多いですが、旅行なので慌てない。ゆったりと家族との時間を過ごしながら、デジタル世界とは距離を置くと、頭も心も深くリラックスできるのです」(森下氏) 休日はそのようにデジタルデトックスするとして、仕事がある平日はどう過ごせばいいだろうか。ポイントは「通知を切る」ことにある。なにかに集中しているときに、スマホの通知が鳴って意識がスマホにいく。スマホを開いて通知の中身をチェックする。そのとき、ついついSNSも見てしまう……そうして時間を浪費してしまい、作業が進まない─誰しも経験のあることだろう。こうした事態を避ける一番の方法が「通知コントロール」だ。 iPhoneには「集中モード」、Androidには「フォーカスモード」という機能がある。こうした機能を使えば、一定期間だけ通知を完全にオフにしたり、電話などの緊急性の高いアプリのみ通知をオンにして他はすべてオフにする、など細かい設定が可能だ。 「通知をオフにしたうえで、可能ならスマホそのものを別室に置きましょう。北海道大学の研究では、スマホを机に置いてテストを受けると、たとえスマホを使っていなくてもスマホが気になって成績が落ちるというデータを発表しています。逆に、スマホを別室に置くと成績が良くなることもわかっています。 要は、スマホという存在そのものが意識を阻害しているのです。通知をオフにして『もう通知はこない』と自分に言い聞かせて作業すると、仕事も捗るでしょう」(森下氏)