なぜ西武の平良海馬は開幕32戦無失点のプロ野球記録を更新できたのか?「絶対同点にならないように0点を意識した」
パ・リーグ記録は2003年の豊田清(西武)、2014年の比嘉幹貴(オリックス)の「34」で、プロ野球記録は2006年に藤川球児(阪神)がマークした「38」となっている。 「もうそういう話題に触れなくていいじゃない」 守護神の重圧にさらなる拍車をかける、記録ラッシュが続きそうな状況に思わず親心を見せた辻監督は、パ・リーグ記録保持者の一人がいま現在の西武の一軍ピッチングコーチだと知るや、冗談まじりに笑い飛ばしながら平良へ全幅の信頼を寄せた。 「豊田くらい抜かしてやれ。でも、1試合1試合、勝ちにつながるピッチングをしてもらいたいだけです」 西武が戦った63試合のうち、平良は半分以上の32試合に登板している。54試合に登板した昨シーズンをはるかに上回るペースに、登板過多を心配する声もあるなかで、東京五輪に臨む侍ジャパン入りへの期待もかかる平良は静かに前を見すえた。 「そっちも超えられるように頑張ります」 そっちとはパ・リーグ記録であり、プロ野球記録を指している。もちろん個人的な記録は二の次。借金を再び「1」にまで減らした西武の巻き返しだけを見つめて、名前をもじって「平良海魔神」と呼ばれる豪腕はブルペンで出陣を待ち続ける。 (文責・藤江直人/スポーツライター)