【バレーボール】石川祐希 新天地ペルージャで絶好調…失意のパリ五輪後〝身内〟に語っていた決意
今夏のパリ五輪でバレーボール男子日本代表の主将を務めた石川祐希(28=ペルージャ)が〝銀河系軍団〟で、確かな存在感を示している。イタリア10季目となった今季は、昨季4冠の絶対王者でプレー。昨季と異なる環境下でも、好パフォーマンスを発揮中だ。愛知・星城高時代からメディカルトレーナーとしてサポートする野口嵩広氏(スポーツケアルーム代表)が、その要因に迫った。 1972年ミュンヘン五輪以来、52年ぶりの金メダルを狙ったパリ五輪は、準々決勝でイタリアに2―0から逆転負け。第3セットは3度のマッチポイントを握りながらも、あと1点が遠かった。 パリから帰国後の8月中旬に石川の体をケアした野口氏は「まだ悔しさが残る中でのケアだったので、お互い多くは語らずというところだった。五輪という、どのアスリートも目指す場所だし、7年間かけてつくり上げてきたチームの戦いが終わってしまったし、いろんな意味で精神的な疲労が大きいように感じた」と振り返る。 イタリア戦後には目を真っ赤にした石川だが、ケア時には前向きな言葉も残していた。野口氏は「ペルージャでの戦いや、4年後のロサンゼルス五輪へという言葉が石川選手の口から出ていたので、そこは一つ安心した部分だった。バレーボールで次の挑戦へ頑張りたいという思いが聞けた点はよかった」。気持ちを切り替えた石川は8月下旬に日本を旅立ち、ペルージャの地へ足を踏み入れた。 昨季まで所属したミラノは、アジアンスーパーなどで日本食を手に入れることが容易だった。しかし、地方のペルージャで同様の生活は厳しいのが現状。さらに各国の代表が一堂に会する名門だからこその難しさもあるという。 野口氏は「ある程度立ち位置が確約されたミラノとは異なり、日々の練習からより集中してプレーすることが求められるし、環境の変化もあるので、ミラノ時代よりもタイトな生活になっていると思う」。それでも石川はリーグ戦ですでに3度のMVPを獲得するなど、猛アピールを続けている。 かねて石川が掲げる目標は「世界一のプレーヤー」だ。険しい道のりを歩む石川に対し、野口氏は「レベルの高いチームに入った以上は結果が求められる。パフォーマンスを上げていかないといけないので、競争も激しくなるが、石川選手のタイトルを取りたいという思いに僕もこだわりを持ちながら、手助けしていきたい」とエール。二人三脚で日本バレーボール界の歴史を切り開いていく覚悟だ。
中西崇太