20代くらいの明るい女性に「あのクルマ、カッコいいね。もしかしたら貴女のクルマ?」と声をかけたら
砂漠のど真ん中のモーテルに泊まり、人気のないところまでクルマで移動。陽が沈むところと陽が上るところを眺めるのも大好きだ。 もう、クルマの旅は引退した。でも、もしもまた、一人でアメリカを旅することができるなら、昔を、若い頃を思い出しながらモーテルを辿る旅をしたい。 モーテルを巡る自由な旅を妄想するのは、僕の大きな楽しみの一つになっている。 ちなみに、僕の母はサンフランシスコ生まれだが、高齢になってから、「生まれ故郷を見に行こうか」と誘ったら大喜び。 LAにも行きたいというので、LA~サンフランシスコはレンタカーで移動したのだが、途中で海辺のモーテルの前にクルマを停め、今日はここに泊まってみようかと聞いてみた。 LAもサンフランシスコもすべてホテル。なので、一度くらいは「モーテルに泊まってみるのも楽しい思い出になるかもしれない」と思ってのことだが、、瞬時に、「いいわね。泊まってみたいわ。この可愛らしいホテル!」との返事が返ってきた。
で、泊まったのだが大喜びだった。立派なホテルよりもずっと楽しそうだった。モーテルの前の海辺の散歩も大喜びだったし、隣接した気軽なレストランも気に入ってくれた。 そして、「帰りもここに泊まりたいわ」と言い出し、そうすることにしたのだが、、「いい親孝行ができたなぁ!」と、すごくうれしかったことを思い出す。 ちなみに、ここで書いているモーテルの話は、昔の思い出話。大型の立派なモーテルが多くなっている現在とは、かなりイメージの異なる部分が多い。 加えて、僕が「もう一度行きたい!」と妄想を重ねているモーテルもまた、僕が若かった頃の、ちょっとオモチャっぽくてカラフルで気軽なモーテルを指している。併せてご承知いただきたい。
● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
■ ART PIECES (溝呂木 陽)
夏の終わり、吉祥寺ギャラリー永谷2にて6月に行ったイタリアで描いた水彩画や、作っている模型の展示会を行います。 2024年8月29日(木)-9月2日(月) 10時~18時(初日は13時より、最終日は15時まで) ギャラリー永谷2 (吉祥寺ヨドバシカメラ横)
文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽