20代くらいの明るい女性に「あのクルマ、カッコいいね。もしかしたら貴女のクルマ?」と声をかけたら
砂漠の旅は、若い頃はよくテントを使っていた。砂漠のど真ん中にテントを貼り、灯油ランプを灯し、飽きもせず星空を眺めていた。 話は逸れるが、僕はどんなところでも寝られるし、どんなところでも、どんなものでも食べられる。お金のない若い時にも、よく海外に行けていた理由の一つだろう。 メキシコの砂漠地帯を旅していた時、クルマが故障して立ち往生。その時通りがかったトラックドライバーに声をかけたら、彼の食事と水を分けてくれた。 タコスにひき肉を挟んだものだが、、地面に座り込み、トラックを日除にして二人で食べた。言葉は通じなくても心は通じる。ハッピーな食事だった。 どんなものでも食べられるといえば、、カエルや蛇は序の口で、豚の鼻、犬、ゴキブリ、、いろいろなものを食べた。 そんな中、一度だけビビったのは猿の脳みそ。茹でた頭部が壷の
最高のご馳走ということで、断るわけにはゆかずに食べたが、緊張と恐怖!? のせいか、味わう余裕などない。なので、どんな味だったか覚えていないし、説明もできない。 話を戻そう。歳を重ねるに連れ金銭的余裕も出てきて、宿泊はテントからモーテルに変わっていった。 多くのモーテルに泊まったが、内容の良し悪しは別にして、いちばん強く記憶に残っているのは、人里離れたアラスカ(アメリカ)とカナダの国境で出合ったモーテル。 アラスカのフェアバンクスからカナダ経由でLAまで、シビックで走った旅でのことだ。モーテルというより、白く塗っただけの小さな掘立て小屋で、シャワーもなし。 掃除もあまりしていないようで、枕カバーやシーツ類も変えた様子はない。でも、そこに泊まらないと、数百kmも移動しなければならない。 で、枕には自分のタオルを被せ、洋服は着たまま靴を脱いだだけで眠った。でも、不思議なことによく眠れた。
LAの田舎で泊まったモーテルでも楽しい思い出がある。朝、部屋を出たら、受付の脇に60年代の乗用車をベースにした、ピックアップ(残念ながら車種は覚えていない)が駐まっていた。 受付には20代くらいの明るい女性がいたのだが、彼女に「あのクルマ、カッコいいね。もしかしたら貴女のクルマ?」と声をかけた。 間髪入れずに「そうよ! 私のよ!」と満面の笑みと共に答えが返ってきた。 僕は試しに、「見せてくれる? できたら、エンジンの音も聴きたいし、運転席にも座ってみたいなぁー」と言ってみた。 すると、「気に入ってくれたのね! うれしいわ! もちろんエンジン音も、運転席もOKよ。さぁ、いきましょう」と! 彼女入りの写真も喜んで撮らせてくれたし、僕を助手席に乗せてモーテル内を走ってもくれた。V8の音を褒めたら、うれしそうに何度か吹かしてもくれた。 砂漠や海辺のモーテルでは、朝陽の昂る方向の部屋を選ぶ。起きてカーテンを開けて、明るい朝陽を浴びる目覚めが大好きだからだ。