「会議に毎回遅刻」「曖昧な指示が理解できない」上司のあなたが考えるべき“グレーゾーン“かもしれない部下への対応
ほぼ毎回会議に遅刻する部下
新人のDさん(女性20代)は、会議で使用する資料を配布したり、議事録を作成する役割を任されています。 しかし、必ずといっていいほど、10分程度遅刻します。上司や先輩から注意されるたびに謝罪の言葉を述べ、次回からは気をつけますと言いますが、直りません。 [どのようにサポートしていくか] Dさんのような人は、段取りなどが苦手で、時間感覚を保ちながら自分の行動を管理していくことが不得意な場合があります。 一度、会議前の資料準備から会議に参加するまで具体的にどのような準備が必要で、どのくらい前から着手すれば間に合うのかを一緒にシミュレーションしてみると良いでしょう。 シミュレーションによって、Dさんが会議前からの流れやコツを把握し、1人でできるようになればいったんはゴールとなります。 何度シミュレーションしても1人で実施することが難しい場合や、本人が苦痛に感じているようであれば、上司から事情を詳しくヒアリングしたり、場合によってはカウンセリングなどを勧めてみると良いでしょう。 繰り返しになりますが、ヒアリングの際に「発達障害かもしれないから……」などという声がけは絶対にしてはいけません。
曖昧な指示が理解できない部下
Eさん(男性20代)の所属する部署は忙しく、いろいろな指示が飛び交っているようなところです。 「あの件、まとめておいて」とか「さっきの件は、適当に処理しておいて」など曖昧な言葉がよく飛び交っていますが、Eさんにとっては、「あの件」とはなにを指しているのか、「適当に処理」の適当とはどの程度なのかなどを、想像するのが難しいようです。 指示してきた人に聞くこともありましたが、「そんなこと自分で考えてよ!」などという言葉がかえってくることが多く、分からないまま着手していました。その結果、指示された内容と違う期待外れの仕事しかできず、叱責される機会が多かったようです。 [どのようにサポートしていくか] Eさんは、イマジネーションやコミュニケーションが得意ではないといえます。分量や納期が不明確な仕事は、イメージがしにくいのでしょう。 そもそもEさんのようなタイプは、自分で想像しながら仕事を進めていかなければいけない部署では、環境への適応が難しい場合が多いです。 部署を変えてもらうことも1つの方法となりますが、ある程度のルールがあればマニュアル化しておく、指示する人には具体的に伝えるようにしてもらうなど、環境調整も必要となります。 このように、部下の特異な言動から発達障害を疑うよりも、まずは事例性からサポート案を試してみることが重要です。 それでも難しいようであれば、遅刻の回数や叱責される内容などの客観的な事実から、受診やカウンセリングを勧めるのも方法の1つです。 舟木彩乃 ストレスマネジメント専門家。公認心理師・精神保健福祉士。博士(ヒューマン・ケア科学/筑波大学大学院博士課程修了)。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁や地方自治体のメンタルヘルス対策に携わる。
舟木彩乃