カワイ・レナードは膝の状態が思わしくなくオリンピック参加を取り止め、アメリカ代表にはデリック・ホワイトが加わる
クリッパーズの要請を受け入れてカワイはチームを離脱
現地7月9日、アメリカ代表のトレーニングキャンプに参加しているカワイ・レナードは「ここまでは順調だ。この調子をキープしていきたい」と語ったが、それは果たせなかった。翌10日、最初の強化試合となるカナダ戦を前に、彼はアメリカ代表から離脱した。 代表からは彼の離脱についてのリリースが出され、カワイがオリンピック出場に向けて強度の高い練習をこなしていたこと、それでもクリッパーズとUSAバスケットボール協会がこの夏を来シーズンの準備に費やすべきと判断されたことを説明している。 ただ、USAバスケットボールはクリッパーズとカワイの決定を受け入れただけで、実際はクリッパーズがカワイのコンディションを心配し、オリンピックに参加しないよう圧力を掛けたということだろう。 カワイはケガの多い選手で、クリッパーズでの4年間でフルに稼働できたシーズンがない。昨シーズンはこの4年間で最も多い68試合に出場したものの、シーズン終盤に右膝の炎症を起こす。レギュラーシーズンのラスト8試合を欠場してプレーオフに備えたが、コンディションは取り戻せなかった。マーベリックスとのファーストラウンド、第2戦と第3戦に強行出場したものの本来のプレーはできず、その後の3試合は再び欠場。クリッパーズは2勝4敗で敗退した。 1週間前の時点では問題はなく、カワイも饒舌にオリンピックへの意気込みを語っていた。「多くの人が僕に注目し、応援してくれる人もいれば懐疑的な人もいるけど、僕は多くの人からモチベーションをもらって頑張り続ける。ケガばかりだけど、僕よりもツキのない人はいる。僕が誰かから勇気付けられているように、僕が努力する姿が別の誰かを勇気付けることもあるだろう。それがスポーツの良さであり、だから僕は前進し続けるんだ」 しかし、その後に膝に問題が出たようだ。チームUSAの指揮官スティーブ・カーはカワイの状態について「良い時と悪い時がある。ケガから復帰したばかりでは当然だが、厄介なのは準備期間が短いことだ」と語り、オリンピックで100%のパフォーマンスができるかとの質問に「ノー」と答えている。 カワイに代わってデリック・ホワイトがアメリカ代表のメンバーに加わる。カワイほどのスター性はなくても、ホワイトの攻守のユーティリティ性と質の高さは、カワイとはまた違った武器をチームにもたらし、このロスター入れ替えが戦力ダウンに直結するわけではない。 しかし、オリンピックをモチベーションにカワイが重ねてきた努力は無駄になってしまった。彼は先日、親友のポール・ジョージがクリッパーズを離れてセブンティシクサーズに移籍したことに理解を示し、「チームを引っ張る役割が増えるわけじゃない。今まで通りやるだけ」と語ったが、クリッパーズ首脳陣はそう考えなかったようだ。新シーズンはカワイの責任が大きく増す。だからクリッパーズはカワイのコンディションに過敏に反応した。 今日からアメリカ代表は強化試合をスタートさせ、オリンピック本番まで刺激的な1カ月が待っている。しかしカワイにとっては、つらく長い夏になることだろう。